マンション物件選びのポイント/マンションの防音・騒音対策

マンションの騒音はどこまで許されるのか(2ページ目)

マンション住まいで一番苦情が多いとされる「騒音問題」。子どもの声や足音といった生活騒音が原因で裁判になる事例もあり心配は尽きません。今回は「騒音」とされる音の基準、軽減する工夫、マンション選びのチェックポイントなどを見てまいります。(初出:2007年10月/改定2018年4月)

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

騒音を減らす工夫

生活騒音は、日々の暮らしの中でどうしても出てしまう音ではありますが、マンションなど多くの人が集まって暮らす場所では、お互いに気を使い合い、なるべく迷惑をかけないように心掛けることが一番初めにとるべき対策と言えます。

安心して子育てするために遮音性の高いマンションを選ぶことも大切です

安心して子育てするために遮音性の高いマンションを選ぶことも大切です


騒音問題になるべく対面しないためには、建物などハード面でもある程度の防音対策が取ってあることも必要です。それではマンションに関係する音と対策について見ていきましょう。

マンションで発生する騒音の種類と対策

マンションの床周りで発生する音には2種類あり、人がとび跳ねたり重いものを落としたときに生じる「重量床衝撃音」と、スリッパでパタパタ歩く音、スプーンやコップなど軽いものを落としたときに生じる「軽量床衝撃音」があります。

重量床衝撃音は、マンションの床スラブ(コンクリートでできた床の構造材)の厚さや梁で囲まれた面積などによって変化します。気をつけたいのは床スラブ、梁といった部分は「共用部分」になり、購入後にリフォームできないこと。従って、購入する時に十分気をつけなければなりません。詳しくは次ページのマンション購入時のポイントにまとめています。

軽量床衝撃音は、床仕上材の工夫により軽減することが可能です。仕上材にじゅうたんやカーペット、畳などの柔らかいもの、または遮音性能の高いフローリングを採用する、フローリングの上にじゅうたんやカーペットなどを敷くなどの対応が考えられます。これは住み始めてから各々の住まい手が取ることのできる対策です。

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マンションの遮音・騒音の基礎知識:床
子どもがいる家庭で心がけたいマンションの騒音対策
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遮音等級を示すL値

参考に遮音性を示す「L値」の基準を示します。1ページ目に出てきた「デシベル=音の大きさ」に対し、「L値=遮音性」の単位となります。Lの後の数字が遮音性のレベルを示します。数字が小さいほど遮音性能が良いことを示します。

L値は重量床衝撃音と軽量床衝撃音を合わせた総合的な遮音等級を示します。表3でL値とその値が示す遮音性能の目安、生活の中で感じる感覚の目安を示します。

【表3】L値の基準。L値とその値が示す遮音性能の目安。(出典:日本建築学会

【表3】L値の基準。L値とその値が示す遮音性能の目安。(出典:日本建築学会

 

現在主流の床材はフローリングですが、フローリングは音が響きやすく騒音が発生しやすい材料です。従って、マンションでは裏にクッション材が張ってあるなど遮音性能の高いもの(Lの後の数字がより小さいもの)が使用されていると望ましいでしょう。じゅうたん、カーペット、畳などは一般的にフローリングより遮音性能が高いとされていますが、やはり種類によって遮音性能はまちまちになります。

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それでは次のページでマンションを選ぶ時のポイントを見てみましょう。

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