マンション物件選びのポイント/マンションの防音・騒音対策

間取りで検証! 水回りの騒音問題

トイレの排水音や隣人の夜中のシャワー音が気になる…水回りから出る騒音も悩みのタネになりがちです。一つの回避策として上下左右の住戸の間取りをチェックすることがあります。

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

もし寝室とトイレが隣接していたら?水の音が気になる間取りかもしれません。

もし寝室とトイレが隣接していたら?水の音が気になるかもしれません。

マンションの騒音と言えば子どもの足音やピアノの音などを思い浮かべますが、トイレやキッチン、浴室から聞こえる水回りの音も気になるものです。

水回りから出る音には、自宅内から響く音、隣りまたは上階住戸から聞こえる音の二種類あります。いずれも間取り図を事前にチェックすることで避けられる問題です。今回はどんな間取りだと騒音が気になりやすいか、間取り図を用いて検証してみましょう。

ケース1:自分の住宅のトイレの排水音

それではまず自分の家の中で、特に大きな音が出るトイレの排水について検証してみましょう。注目するのは寝室とトイレの排水が通るパイプシャフトとの位置関係です(【図1】参照)。

【図1】自分の家の中で、トイレの排水音が気になるケースの間取り例。
【図1】自分の家の中で、トイレの排水音が気になるケースの間取り例。トイレ及びトイレのパイプシャフトが寝室と隣あっている。


【図1】の間取りでは、トイレ及びトイレの排水管が通るパイプシャフトが間仕切り壁一枚を隔て寝室と隣り合っています。寝室は住まいの中でも一番静寂が求められる部屋ですが、残念ながらこのような間取りはいまだによく見かけます。

仮に自分の家族の出す音であれば多少我慢できるとしても、パイプシャフト内の排水管には上階の住人の排水も流れてくることを忘れてはいけません。

パイプシャフトと居室の間にワンクッションを

基本的に共用排水管の通るパイプシャフトは、台所・浴室・便所といった水回りの近くに設けられます。制約の多いマンションでは、どうしても居室の隣にパイプシャフトが来てしまうこともあります。そのような場合には、居室とパイプシャフトの間に物入れやクローゼットなどで空間的にもワンクッションを置くなど、音に配慮してある間取りを選ぶようにしましょう。【図2】で比較してみましょう。

【図2】ちょっとした違いだが寝室への騒音が軽減される例。左側は【図1】のトイレ回り。右側は便器の向きを変え、PSを台所側に移動した図。クロゼットが間に入るだけでも寝室に響く排水音はだいぶ軽減される。
【図2】左側は【図1】の点線部分。右側は便器の向きを変え、PSを台所側に移動した図。クロゼットが間に入るため寝室に響く排水音はだいぶ軽減される。


【図2】の左右の図を見比べてみると、ほんの少しの違いであるものの、右の間取りの方が、より寝室に音が響きにくくなります。

すでにお住まいの住戸でトイレの排水音が気になる場合は、気になる部屋とトイレ・パイプシャフト間の間仕切り(例:【図1】中の青い壁の部分)を遮音壁にしたり、排水管に防音シートを巻くなどの対応が考えられます。

次のページでは、隣戸間でクレームの発生しやすい間取り配置例を見てみましょう。
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