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終の棲家としてのマンション選び(3ページ目)

終の棲家(ついのすみか)は「人生のしめくくりを過ごす」と決めた家のこと。都市部などでは、子育て終了後、持ち家を手放しマンションに住み替える人も増えています。マンションはどんな点が「終の棲家」に向いているのか検証します(初出:2008年4月 改訂:2014年8月)

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

老後を快適に暮らすための条件

それではここで、終の棲家としてのマンションを選ぶポイントを挙げてみましょう。これは高齢の世代だけでなく、全ての人に優しい住まいの条件でもあります。

■立地の利便性
バスやタクシー乗り場が近くにあるか要チェック

バスやタクシー乗り場が近くにあるか要チェック

高齢になると足腰が弱くなり、医療機関にかかることなども多くなることから、駅に近く、道のアップダウンが少なく、日常的な買い物に便利もしくはバス、タクシーが使いやすい場所にあることなどが必要です。

■マンションの共用施設
伴侶に先立たれるなどして独り暮らしになった時には、気軽に相談できるような場があると心強いでしょう。たとえばフロントサービスが充実しているマンションであれば安心でしょうし、また、健康に配慮したスポーツジムや、ビリヤード、囲碁将棋などといった同じ趣味を持った同世代が集まる場があると楽しく過ごすことができます。

■共用部のバリアフリー
高齢になるとちょっとした段差もこたえるもの。バリアフリーは重要なポイント

高齢になるとちょっとした段差もこたえるもの。バリアフリーは重要なポイント

最近ではシルバー向けマンションも多く登場していることもあり、一般的にバリアフリー化は浸透しつつあります。比較的最近のマンションであればエレベーターも完備されているでしょう。

将来訪れるかもしれない車いすの使用を考えて、道路からエントランスホールまでスロープでつながっていること、外廊下・エントランスホール・エレベーターホールが広めで、かつ手すりがあること。さらに万が一の時を想定してストレッチャーが入るような縦長のエレベーターが最低一基はついているとなお安心ですね。

 

■住戸内部のバリアフリー
住戸の内部でも、車いす使用を考えて基本的に段差がないこと、廊下、主な出入り口に車いすが通れる幅があるなど、全体的にゆったりとした造りであるかチェックします。最低でも寝室は6帖以上の広さがあると良いでしょう。トイレや浴室に手すりがあること、玄関には腰を掛けられるベンチを置くスペースや手すりがあるとより便利になります。

■断熱性の高いマンションであること
広さや躯体の構造にもよりますが、一般的にマンションは戸建住宅よりも冬を暖かく過ごせるようです。コンクリート造は木造よりも気密性が高く、マンションでは上下左右の住戸が断熱材の役割も果たすからです。特に高齢になると室温の温度差により冬場のトイレやお風呂でのヒートショックを起こしやすくなるので、断熱性に配慮したマンションを選びたいものです。断熱性が高ければ部屋ごとの温度差が少なく体に優しく、光熱費も安くすみ、夏も冬も快適に過ごせます。

終の棲家という観点をもって家選びを!

いつまでも自宅で暮らしたいという思いが叶う家を選びましょう

いつまでも自宅で暮らしたいという思いが叶う家を選びましょう

これからは、長持ちする家を買って長く住むというライフスタイルが定着してくるでしょう。「終の棲家」にふさわしい家は、たとえ住み替えることになっても価値を高く保てる住まいとしての条件を兼ね備えている、とも言えます。

「老後にどのような暮らしをするのかしら……」
今から想像することはなかなか難しいことですが、将来心穏やかな暮らしができるよう、マンション選びはじっくりと、先を見据えた視点で検討したいものですね。

【関連サイト】
平成25年度マンション総合調査結果について(国土交通省)

【関連記事】
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