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終の棲家としてのマンション選び(2ページ目)

終の棲家(ついのすみか)は「人生のしめくくりを過ごす」と決めた家のこと。都市部などでは、子育て終了後、持ち家を手放しマンションに住み替える人も増えています。マンションはどんな点が「終の棲家」に向いているのか検証します(初出:2008年4月 改訂:2014年8月)

井上 恵子

執筆者:井上 恵子

住まいの性能・安全ガイド

維持管理がラクであるというメリット

雪が降る地域では、持ち家だと雪かきは自分でしなくてはならない

雪が降る地域では、持ち家だと雪かきは自分でしなくてはならない

実際のところ、マンションは高齢者にとって住みやすい場所なのでしょうか?そこで、高齢者の方に、マンションのどのような点が終の棲家としてふさわしいか、聞いてみました。

まず「(戸建て住宅と比べて)維持管理が簡単である」ことが挙げられました。戸建住宅では、庭樹の手入れや外壁・屋根の補修といったメンテナンスが意外と大変で、費用もかかります。

また、夏場の草むしり、秋の落ち葉掃きなど、マンション住まいにはない重労働的な作業もたくさんあるのです。若く、現役で働いている世代のときは苦にはならないかもしれませんが、高齢になるほどそういった維持管理面の負担感が大きくなると言えるでしょう。

 

コンパクトな住まいがちょうどよい

子育て時代には部屋数も面積も広ければ広いほどありがたかった家も、夫婦2人もしくは1人住まいになると、広すぎて掃除が大変、光熱費が余計にかかる、防犯上も不安である、などといった声が聞かれるようになります。マンションならほど良い広さの部屋で戸建住宅よりは冬場暖かく、カギ1つで戸締まりもOKなどと、高齢者にとって望ましい条件が揃うのです。

集合体であるという安心感

マンションの共用施設で仲間と趣味を楽しむことも

マンションの共用施設で仲間と趣味を楽しむことも

さらに、大勢の世帯が集まって住むという形態に安心感もあるようです。同じマンションの住人と親しくなれば、なにかあった時にすぐ助けを求めることもできます。物件によっては、マンションの共用の部屋を使って趣味のサークルをすることもできるでしょう。

マンション在住の方にお聞きすると、マンション住まいの良さに「同じマンションで家族ぐるみのお付き合いをする人が何組かいること」を挙げる方も多くみられます。そういったマンションならではの特徴は、働き盛りで時間がないときはうっとおしいと感じる方もいらっしゃるでしょうが、高齢になれば逆に心強い利点となるでしょう。

 

持家を手放してマンションに住み替え

このように、マンションには高齢になってから住むのに適した条件が揃っています。子育て期は戸建住宅に住み、子どもが巣立ってからは近くのマンションに入居したご夫婦もいらっしゃいます。

とくに高齢になってからは、住みなれた土地にこのまま住みたいと思うものです。家には広さよりも、買い物や病院に行きやすいといった利便性やバリアフリーであることなどの安全性がより必要になってきます。住みなれた土地で、より駅の近くにあるマンションに住み替えすることは大変理にかなったことだと思います。

もちろん、若いうちから「永住」を視野に入れ、初めからマンション暮らしを選ぶ方法もあります。特に今は「100年住宅」「200年住宅」といった長寿命の家が注目されており、耐久性のあるマンションを選ぶようにすれば、住みなれた場所を終の棲家とすることは十分可能といえるでしょう。

次のページでは≫≫老後を快適に暮らすための条件を検証します。

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