新しい家、新しい家具で起こりやすいシックハウス
フローリングに壁紙……身の回りには工業化製品がいっぱいあります
・複合フローリング
・ビニールクロス、ビニールクロスの接着剤
・壁紙の下の石膏ボード
・木製の扉
・作り付けの棚、下足入れ、クロゼットの扉と内部仕上げ(合板)
・押入れ内部仕上げ(合板)
・木質系のキッチンユニット
・カウンター(木質系)
・塗料
・断熱材
etc…
これだけでも、家の中のいかに多くの場所でこれらの材料が使用されているかおわかりいただけると思います。しかし、前のページで述べたように、2003年以降に建てられた新築の家ではホルムアルデヒドとクロルピリホスの2つの化学物質については使用規制があり、確認申請の時点でチェックされているのである程度の抑制力は持っていると考えられます。
規制のない化学物質が検出されることも
ただし、建築基準法で規制がない「その他の化学物質」で症状が出てしまうことがあります。ガイドの経験ですが、新築の建物で化学物質の濃度測定をしたところ、建築基準法で規制がない「トルエン」で基準値以上出てしまったことがありました。このときは何が原因なのかわからず困りましたが、のちに新品の木製おもちゃが原因とわかりました。この例でもわかるように、シックハウスの原因は新しい家そのものだけでなく、新しい木製の家具、おもちゃ、そして新しいカーテンや床に敷くラグなどにある可能性も十分にあります。これから新生活を始めるにあたり、家具やカーテンを新調する時は注意が必要です。
シックハウスを防ぐために「F☆☆☆☆」マークを確認
木質系建材につけられたF☆☆☆☆(フォースターマーク)の例
Fの次に並ぶ☆(スター)の数で、ホルムアルデヒドが空気中に発散される速度(=安全性)を示しています。☆の数は4つ~1つまであり、☆の数が多い方が安全となっています。☆が4つついているものが最高等級で安全性が高い製品です。これから購入する場合は「F☆☆☆☆(フォースター)」マークのついた製品を選ぶようにしましょう。
もしシックハウスの症状が出たら
新しい家で始まる新生活。健康のために日々の換気が大切です
前ページでシックハウス症候群の原因となる化学物質にはたくさんの種類があり、建築基準法で規制されていないものもあると述べました。どの物資が原因かは測定をしないと特定できません。とりあえず、家の中にいるとくしゃみ、咳、目がチカチカする、頭痛がするといったそれらしき症状が出てしまったら、窓を開ける・換気扇を回すといった換気を行うことで、室内中に漂う化学物質を少しでも減らしていくことが大切です。
これらシックハウスの原因となる化学物質は、時とともに薄まってきます。例えば新築から5年たった家、使い始めて5年たった家具やカーテンでは、化学物質は抜け切っていると考えてよいとされています。このことからも、新しい家、リフォームしたての家、新しい家具に囲まれた新生活の始まりには、できるだけ換気を心がけるようにして下さい。
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