住宅設計・間取り/マンガ・ドラマ・映画に学ぶ間取り

夏目漱石「吾輩は猫である」にみる間取り学

今回は「吾輩は猫である」から、間取りについて学んでみましょう。日本の住まいには、直接居住空間ではない空間があります。そんな空間と空間をつなぐ「間」を大切にしていきたいものです。

佐川 旭

執筆者:佐川 旭

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どんな間取り?

近代日本を代表するこの小説の間取りをのぞいてみると、南側に縁側、そして和室が南側、北側と並び、まるで原稿用紙のます目のようです。そして襖を取れば大広間になる純和風住宅です。

【珍野苦沙弥邸】
この家の住人:珍野苦沙弥夫婦/吾輩(猫)/下女
とん子(長女)/すん子(次女)/めん子(三女)

言葉と住まい

欧米の言葉は、言葉と言葉を前置詞・関係代名詞・接続詞で固め、さらに記号を使って句読法をきっちりさせて表現します。これを住まいに置き換えると、部屋の用途1つ1つが決まり、大きな箱になり、一軒の家になるということだと思います。

一方、日本語は句読点を必要としません。建築でいえば、縁側、板の間といった直接居住空間ではない空間です。つまり日本語も日本建築も「間」を置くことで相手に伝えていく考え方です。

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