不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

知っておきたい「用途地域」の基本

都市部の市街化区域に定められる「用途地域」は、住宅を購入する前にぜひ知っておきたい規定のひとつです。用途地域の種類と注意しておきたいポイントなど、基本的な内容をまとめました。(2017年改訂版、初出:2002年4月)

執筆者:平野 雅之

【ガイドの不動産売買基礎講座 No.2】

「不動産売買基礎講座」の第1回で説明した ≪市街化区域≫ には、原則として「用途地域」が定められることになっています。

住宅を購入する際にはぜひ知っておきたい「用途地域」の規定ですが、ここではその基本的なポイントなどをまとめておくことにしましょう。

なお、用途地域による制限などについて詳しくは ≪住宅購入者は必須! 用途地域の基礎知識≫ をご覧ください。


用途地域は12種類

「用途地域」とは、その土地に「建ててよいもの」と「建ててはいけないもの」を定めた規定であり、次の12種類に分けられています。

1.第1種低層住居専用地域
2.第2種低層住居専用地域
3.第1種中高層住居専用地域
4.第2種中高層住居専用地域
5.第1種住居地域
6.第2種住居地域
7.準住居地域
8.近隣商業地域
9.商業地域
10.準工業地域
11.工業地域
12.工業専用地域

このうち、住宅を建てることができないのは「工業専用地域」だけです。また、用途地域のうち住居系の4つは「住居専用地域」という名称になっていますが、決して「専用」ではないことに注意しなければなりません。

一般的には1の「第1種低層住居専用地域」から9の「商業地域」に向けて次第に制限が緩やかになっていきます。一戸建てが中心の「住宅街」から「繁華街」へ向かって変わる様子をイメージすればよいでしょう。

「第1種および第2種低層住居専用地域」には、建物の高さを10mまたは12mに制限する規定もあるため、2階建ての一戸建て住宅の割合が多く、閑静な住宅街がつくられやすい地域です。

また、「準工業地域」はもともと小さな工場などが混在する「住宅地」のケースも多く、建売住宅やマンションの供給も少なからずあります。


購入物件だけでなく、その周辺の用途地域も確認しておきたい

住宅を購入する際には、物件周辺の用途地域にも注意することが欠かせません。

物件の敷地部分に指定されている用途地域が何なのかは、不動産広告の概要欄に記載されているほか、営業担当者からも話があるでしょう。契約の前の重要事項説明でも宅地建物取引士から説明があります。

ところが、物件と道路を挟んで向かい側の敷地の用途地域がどうなっているかまではなかなか説明してくれません。

とくに大都市では用途地域が複雑に入り組んでおり、住環境がよいつもりで「第1種低層住居専用地域」の物件を選んだのに、向かい側は「商業地域」で夜には賑やかになる、などといったケースもあるのです。

現地を見学するときには、物件周辺の様子もしっかりと観察しておくようにしましょう。

ちなみに、ヨーロッパなどでは日本と違って「このエリアにはこのような建物を建てなさい」と建物用途の指定をしている国もあるようですが、日本ではそこまでの誘導ができていません。

購入する物件の用途地域を確認する際には、そのエリアに「何が混在するのか」をチェックすることも大切です。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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