【ガイドの不動産売買基礎講座 No.16】

最近では建物の評価制度や性能保証制度など、新築物件を中心に住宅取引の安心を高めるための法整備が進んでいるほか、新築分譲業者によっては独自の保証制度を取り入れている場合もあります。その一方で、中古住宅を売買する場合にはどうなのでしょうか?

今回は、中古住宅に何らかの欠陥があった場合における「瑕疵(かし)担保責任」について、そのあらましを説明しますが、売主も買主もよく理解しておくことが大切です。


瑕疵担保責任の対象は?

まず、担保責任の対象となる瑕疵とはいったい何なのか確認しておきましょう。法的な表現では「売買の目的物に通常の取引上の注意では発見できないような隠れた物質的欠陥があったとき」であり、かつ、買主が善意(その瑕疵の存在を知らないこと)でなければなりません。

つまり、建物の土台が腐食していたり、壁の内部の鉄筋が錆びていたり、その他の構造部や建物本体設備などが故障していたりした場合で、外部から見ただけでは発見できないような欠陥であり、それが物件の引き渡し後になって露呈してきたようなときに、この瑕疵担保責任の問題が生じるわけです。


売主が瑕疵担保責任を負う期間

買主が瑕疵を発見した場合、民法の規定では「瑕疵を知ったときから1年以内」に損害賠償請求もしくは契約の目的を達せられない場合には契約の解除を請求できるとされています。

このとき、引き渡し後の年数については何ら規定がありませんから、たとえ10年後であっても「瑕疵を知ったときから1年以内」なら権利を行使することができます。ただし、売主が瑕疵担保責任の消滅時効(10年間)の主張をして、それが認められた最高裁判例もあるようです。

しかし、民法の規定は強行法規(必ず適用されるもの)ではありませんから、個人同士の売買では「売主は瑕疵担保責任を負わない」とすることも、あるいは権利行使の期限や対象範囲などを定めることも有効です。

実際問題として、一般の中古住宅では引き渡し後1~3か月程度の期限を定めることが大半で、とくに古い物件のときには「瑕疵担保責任を負わない」とすることも多いでしょう。

宅地建物取引業者が売主のときには宅地建物取引業法が適用され、中古住宅の場合でも最低2年間は瑕疵担保責任を負わなければなりません。「瑕疵担保責任を負わない」とする特約や、2年未満の期限を定める特約は無効となり、民法の原則が適用されることになります。

また、売主が知っていたのに隠していたような瑕疵については、いかなる特約をしていたとしても、売主はその責任を逃れることができません。

なお、この「瑕疵担保責任」は従来、物理的な瑕疵を中心に捉えられてきましたが、最近の判例では心理的な瑕疵(室内で過去に自殺や死に至る事件があった場合など)についても、売主の瑕疵担保責任により契約の解除を認めたケースがあり、適用の範囲は物理的なもの以外にまで拡大される傾向が強まっているようです。


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