【ガイドの不動産売買基礎講座 No.37】

不動産の売買契約のなかには「停止条件付契約」と「解除条件付契約」というものがあります。この2つは似ているものの、法律上の取り扱いは大きく異なりますから、それぞれの違いをよく理解しておくことが欠かせません。


停止条件付契約とは?

一定の事実(条件)の発生(成就)によって効力が生じる契約のことを「停止条件付契約」といいます。たとえば、借地権の土地売買契約で、売買にあたり地主の承諾を要する場合などがこれに該当します。

停止条件付きの借地権売買では、契約行為について地主の承諾を得ることが条件となり、その条件が成就したときに土地売買契約も契約締結の日に遡って効力が発生します。

売買契約を締結しても、それに係る条件が成就するまでは売買契約の効力が発生していませんから、この時点で媒介業者から媒介手数料を請求されたとしても、請求行為自体が違法となり、何ら応じる必要はありません。

また、条件が成就しなければその契約は “初めからなかったもの” として取り扱われます。つまり、停止条件付契約では「条件にもとづく白紙解除」は成り立ちません。存在しない(初めからなかった)契約の解除はできないのです。

なお、「建築条件付き土地売買」において以前は停止条件付契約である(一定期間内に建物の建築工事請負契約を締結することを停止条件とする)ことが求められていましたが、2003年の規則改正により、以後は停止条件、解除条件のいずれであるかを問わないこととなりました。


解除条件付契約とは?

一定の事実の発生によって効力を消滅させる契約のことを「解除条件付契約」といいます。たとえば、 ≪融資利用の特約のポイント≫ で説明したローン条項付の売買契約がその代表格であり、これに該当するケースはかなり多いでしょう。

この場合、住宅ローン融資の不成立が確定したときに契約の効力が失われます。ただし、不成立により無条件で契約解除になる場合と、買主が契約解除するかどうかを選択できる場合(解除権留保型)があり、そのどちらなのかは売買契約書条項の定めによります。

前者の停止条件付契約と異なり、売買契約締結時点で効力が発生していますから、媒介業者による媒介手数料の請求は適法です。そして、解除条件により契約が解除されたときには、それ以前に支払った媒介手数料などがあればその全額が返金されなければなりません。

ちなみに、売買契約の締結時に媒介手数料の「全額」を受け取ることは好ましくない、との行政指導もあるため、契約時半金・決済時半金とするか、もしくは決済時に手数料の全額を請求する不動産業者が多いでしょう。


売買契約を締結する際の注意点

停止条件付契約や解除条件付契約は、上記の例にかぎらず原則として当事者間で自由に取り決めることができます。ただし、その条件が不法行為に該当するもの、社会通念上で不可能な事実を条件とするもの、当事者の意思だけで条件成就か否かを決定するものなどは無効です。

また、条件の内容によっては、停止条件に該当するのか解除条件に該当するのかが容易に判断できない場合もあります。そのようなとき媒介業者には、契約書の条項がどちらに該当するのかを明確にすることが求められるでしょう。

消費者の立場でこのような契約に臨むときには、それが停止条件なのか、解除条件なのか、解除条件ならば解除の際に意思表示が必要なのかなどについて、あらかじめしっかりと説明を受けるようにしてください。


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