なぜ民法と建築基準法とが異なる?
建築基準法で民法と異なる規定をしたのには、都市部における土地の有効利用と、外壁を耐火構造にすることによる不燃化の促進という側面もあったことでしょう。たとえば、次の図のように幅6メートル・奥行10メートル・面積60平方メートルの敷地があったとします。
ここに四方を敷地境界線から50センチメートルずつ離して建築をすると、建物の床面積(建築面積)は45平方メートルとなります。実際の建築はこんなに単純ではありませんが……。
この場合の建ぺい率は、45/60で75%となります。もし、この土地の建ぺい率制限が80%だったとしたら、もっと広く建てたくなるのが普通でしょう。
さらに玄関ポーチを広めに取ったり、カースペースを取ったり、少しでも広い庭を確保しようとすれば、隣地との間がさらに狭くなってしまうのは仕方のないところです。都市部の狭い土地ではお互いに我慢するしかなさそうです。
また、近隣商業地域・商業地域内で防火地域に指定されている場合などでは、実質的に建ぺい率の制限が適用されないこともあり、このような敷地では周囲にまったく隙間なく建てることも法令上は可能です。
隣家の密接は悪いことばかりとは限らない!?
お互いの窓がほとんど同じ位置に
しかし、必ずしも悪いことばかりともいえないようです。隣家の窓が目の前ならば、非常事態が発生したときの脱出経路となる可能性もあるでしょう。
さらに、慣習的に建物が隙間なく密着している地域では、お互いの建物を支え合っているという発想もあるようです。
中途半端な柵には危険も
侵入者が入り込める程度の隙間の場合には、隣家と共同で柵などを取り付けることが必要です。ただし、この柵が中途半端だと逆に侵入者が隠れる場所を提供することになりかねませんから注意しなければなりません。
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