不動産売買の法律・制度/不動産売買の法制度

窓を開ければ……隣家のお部屋!(3ページ目)

せっかく買うなら綺麗な夜景が見える部屋!と思っても、現実は窓を開けたらお隣さんの壁や窓しか見えないなんてこともあるでしょう。隣家との間隔について、都市部の住宅実情とそのルールを写真を交えて解説します。(2014年改訂版、初出:2003年7月)

執筆者:平野 雅之


なぜ民法と建築基準法とが異なる?

建築基準法民法と異なる規定をしたのには、都市部における土地の有効利用と、外壁を耐火構造にすることによる不燃化の促進という側面もあったことでしょう。

たとえば、次の図のように幅6メートル・奥行10メートル・面積60平方メートルの敷地があったとします。
敷地の図
ここに四方を敷地境界線から50センチメートルずつ離して建築をすると、建物の床面積(建築面積)は45平方メートルとなります。実際の建築はこんなに単純ではありませんが……。
敷地の図
この場合の建ぺい率は、45/60で75%となります。もし、この土地の建ぺい率制限が80%だったとしたら、もっと広く建てたくなるのが普通でしょう。

さらに玄関ポーチを広めに取ったり、カースペースを取ったり、少しでも広い庭を確保しようとすれば、隣地との間がさらに狭くなってしまうのは仕方のないところです。都市部の狭い土地ではお互いに我慢するしかなさそうです。
敷地の図
敷地の図
また、近隣商業地域・商業地域内で防火地域に指定されている場合などでは、実質的に建ぺい率の制限が適用されないこともあり、このような敷地では周囲にまったく隙間なく建てることも法令上は可能です。


隣家の密接は悪いことばかりとは限らない!?

向かい合わせの窓

お互いの窓がほとんど同じ位置に

自室の窓に隣家が密接していると圧迫感だけでなく、眺望がない、通風が悪いなど、本来の窓としての機能を果たしません。また、建物同士の間隔が狭いことによって清掃が行き届かないという問題点もありそうです。

しかし、必ずしも悪いことばかりともいえないようです。隣家の窓が目の前ならば、非常事態が発生したときの脱出経路となる可能性もあるでしょう。

さらに、慣習的に建物が隙間なく密着している地域では、お互いの建物を支え合っているという発想もあるようです。

隣地との隙間

中途半端な柵には危険も

隣家との隙間が狭く人が入れないようなところでは、外部からの侵入者が裏口へ回ったり、隠れたりすることを防ぐこともできるでしょう。

侵入者が入り込める程度の隙間の場合には、隣家と共同で柵などを取り付けることが必要です。ただし、この柵が中途半端だと逆に侵入者が隠れる場所を提供することになりかねませんから注意しなければなりません。


page2 ≪民法ではこうなっている
page2 ≪建築基準法ではこうなっている
page3 ≪なぜ民法と建築基準法とが異なる?≫
page3 ≪隣家の密接は悪いことばかりとは限らない!?≫
page4 ≪未完成物件を購入するときは?
page4 ≪隣地の建築に不満な場合は?
page4 ≪どうしても隣地の建物と接近するのがイヤな場合は?

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます