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法律上「道路ではない道」に面した土地に家は建つ?

前面の道路が建築基準法で認められたものではないために「接道義務」を満たさない敷地を検討するときには、建築確認を受けられるかどうかの見極めが重要になります。その基本的な考え方を知っておきましょう。(2017年改訂版、初出:2005年2月)

執筆者:平野 雅之


都市計画区域内(および準都市計画区域内)で住宅を建築するとき、その敷地は建築基準法に定められた「道路」に接していなければなりません。しかし、現実には道路の形状でありながら建築基準法では道路と認められない「通路」も数多く存在しています。

今回はそのような「通路」に接する敷地の購入を検討されている人からのご質問です。



question
一戸建て住宅を建築するための土地を探しています。先日、不動産会社の人から紹介された土地が予算内におさまり周辺環境なども良さそうだったのですが、詳しく話を聞いたところ「敷地前面の道路は建築基準法による道路ではないが、建築確認は問題なく取れる」ということでした。しかし、少し不安だったため不動産に詳しいという友人に聞いてみると「建築基準法の道路に接していない土地では建築確認を取れるはずがないから、その土地はやめるべき」という答えでした。いったいどちらが正しいのでしょうか?
(埼玉県 後藤さん 40代 男性)



answer
建築物の敷地は「幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならない」というのが建築基準法43条1項に規定された、いわゆる「接道義務」です。

この場合の「道路」とは、あくまでも建築基準法で定義された道路のことであり、一般的な概念でいうところの道路とは少し異なる部分もありますから注意しなければなりません。

また、幅員が4m未満の道路でも建築基準法の定義(42条2項)に該当すれば、セットバックを前提に通常の道路と同様に取り扱われます。

整備が行き届いていない私道

幅員の狭い私道の場合には、法的な取り扱いに十分な注意が必要

しかし、現実には見た目が一般の道路と何ら変わらなくても建築基準法による道路の定義に当てはまらない通路や遊歩道、あるいは暗渠(あんきょ)にした水路(上部にふたをして外部から分からない状態にしたもの)なども数多く存在します。

さらに、道路などにはまったく接していなくても、隣が公園などで建築基準法の目的とする「安全の確保」にはあまり支障のない敷地もあるでしょう。

そのような「接道義務の原則に該当しない敷地」での建築を一律に禁止するのではなく、建築基準法43条の「ただし書き」において例外規定を設けています。

それにより「交通上、安全上、防火上および衛生上支障がない」と認められて許可された敷地では、前記の接道義務を満たさなくてもよいことになっているのです。

つまり、この適用があれば前面道路が建築基準法の道路ではなくても、建築確認の取得には問題がないことになり、このような道路のことを「ただし書き道路」と呼ぶ場合もあります。

ご質問の敷地でも、おそらくこの「43条ただし書き」が適用されるものとして不動産業者が説明しているのだと考えられます。

もし、その敷地を購入するのであれば、「43条ただし書き」の適用を条件(適用を受けられなければ白紙解除)とする特約を入れさせれば、とりあえず眼前の問題はなくなるでしょう。

ただし、適用の許可にあたって建物用途の制限、構造や規模の制限などが付加される場合もありますから、十分な注意が必要です。

しかし、たとえ「43条ただし書き」の適用が受けられたとしても、その敷地の購入に問題がないわけではありません。

以前は「43条ただし書き」の適用可否が建築主事の裁量とされ、比較的ゆるやかに運用されていました。事前に建築主事に相談すれば、建築確認取得の確約が得られたり、適用する路線や敷地などをあらかじめ明示している自治体もあったのです。

林の中の道

このような道が建築基準法上の「道路」として認められることはない

ところが、1999年5月の法改正によって「43条ただし書き」の適用が、建築審査会の同意を得たうえで特定行政庁の許可を要することとなりました。

この許可を受けるためには、建築確認申請前に法43条の許可申請を提出(手数料が必要)しなければなりません。

ただし、敷地と道路の間に水路があり、水路占用許可等を受けて幅員2m以上の通路を設けた場合など、特定行政庁による許可が不要のこともあります。

多くの自治体では、従前の運用と矛盾が生じないように「建築審査会包括同意基準」「包括的許可基準」などを作成のうえで公表していますが、これらの基準を明らかにしていない自治体もあるようです。

いずれにしても、今回のケースでは「43条ただし書き」の適用が受けられて建築確認を取得できたとしても、数十年後に建て替えるときなど、将来的に再び適用が受けられるかどうか、何ら保証はないのが現実です。

また、「43条ただし書き」の適用はあくまでも例外措置であることを忘れてはなりません。

今回は建築確認が取得できても、そのことと住宅ローンの審査などにおける担保評価とはまた別問題です。金融機関によっては、通常より低い割合での融資しかしない、あるいはまったく融資しないということもあるでしょう。

将来、その敷地を売却しようとするときに、その時点で建築確認を受けられるかどうかによって敷地の価値は大きく変わりますから、そのようなリスクを抱えていることも十分に考慮したうえで慎重に対応してください。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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