たしかに、大手の仲介業者では営業担当者のマナーもよく、また高いレベルで業務をこなしているところも多いものです。しかし、中小の業者が千差万別であるのと同じように、大手業者もまた現実の中身はいろいろなのです。
「大手だから」という理由だけで安心することはできない
売主から依頼された物件を宅建業法にもとづいて流通機構(レインズ)へ登録し、登録証明書が発行された途端に削除してしまう(売主に対しては引き続き登録してあるとウソをつく)大手業者もいます。
また、そのまま登録してあっても他の業者からの紹介依頼(確認)に対して「契約予定だ」とウソをつき、自社で直接の買主がつくまで時間かせぎをしている大手業者もいます。
さらには、わざと売却活動をせずに売主を精神的にぎりぎりまで追い込み、限界のところまで売値を下げさせて一気に処分してしまおうとする大手業者もいます。また、買主を煽るために人海戦術でサクラを多用する大手業者もいます。
そのうえ順法精神などどこへやら、バレなきゃ何でもアリ、バレたなら隠れるところはいっぱいある、といった態度の大手業者もいます。これらはいずれも実際に関係当事者から聞いたり、私自身が被害に遭ったりしたことのある内容であり、とくに誇張しているわけではありません。
このように書くと大手の仲介業者がすべて悪いように感じられるかもしれませんが、決してそのようなことはなく、多くの大手業者はきちんとした営業をしていますし、私が信頼できる大手業者の営業担当者もいます。
ただ、相手が大手だからという理由だけで軽率に任せきってしまうことは避けなければなりません。依頼する相手が中小だろうと大手だろうと、しっかりと見極める必要があることに何ら変わりはないでしょう。
それでは、中小の仲介業者のときはどうでしょうか? その場合もやはりしっかりとした営業をするところから悪質なところまで、その内容はさまざまです。
しかし、不動産業界の現状に問題意識をもって大手から独立した仲介業者、独自の営業方法によりユーザー本位の立場を貫く仲介業者、業界の悪い部分を変えていこうという仲間同士で設立した仲介業者など、真剣でまじめなところが多いのも中小業者の特長です。
また、営業年数が長いほど良い業者ともかぎりません。設立して間もない業者のほうが新しい考え方でより良い仕事をしているケースもあるのです。
余計に悩みが深まってしまったでしょうか……? 業界全体のモラルが向上し、どの仲介業者へも安心して依頼できるようにならなければいけませんね。
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