不動産取得税は個人の住宅の場合、軽減措置がある
不動産を取得した後、しばらく経ってから請求される税金が「不動産取得税」(都道府県税)ですが、個人の住宅の場合には土地・家屋ともに軽減措置があります。軽減措置の適用があれば不動産取得税はゼロ~数万円程度で済むものの、軽減措置の適用がなければ数十万円になることもあるため、購入する住宅を選ぶ前に軽減措置の内容をしっかりと把握しておきたいものです。
今回はこの不動産取得税について、個人が居住用の住宅を購入したケースを中心に、少し詳しくみていくことにしましょう。
※ 2018年度税制改正(2018年2月時点で未可決)による適用期限延長予定の内容を盛り込んでいます。
不動産取得税の対象となるもの
不動産取得税の対象となるのは購入のときだけではなく、建築や贈与などによる取得のときも
ただし、例外として相続による取得などは非課税です。さらに、課税標準額が一定の価格未満の場合には免税されることになっていますが、これらについては後ほど説明します。
また、不動産取得税の対象となる「不動産の取得」は、有償であるか無償であるかを問いません。
つまり、仮に不動産をタダで貰ったとしても不動産取得税が必要で、その評価額が贈与税の年間基礎控除額を超える金額であれば贈与税もかかりますし、所有権の移転登記をすれば登録免許税もかかります。
婚姻期間が20年以上の夫婦間における配偶者控除(評価額で2,000万円まで無税となる特例)の制度を活用して不動産を贈与しようとする場合など、贈与税は無税となってもやはり不動産取得税などは課税されるので注意しなければなりません。
また、不動産取得税では登記の有無も問わないことになっています。不動産の取得による所有権の移転などを登記しなければ登録免許税は必要ないものの、不動産取得税はどのような場合でも権利移転の実体に対して課税されるわけです。
もっとも、その事実を都道府県税事務所により把握されることが前提となるのですが、不動産取得税を逃れようとして所有権移転登記などをしないままいつまでも放置しておくことに、ほとんどメリットはありません。
また、後ほど説明するように居住用の住宅やその敷地に対する不動産取得税にはいくつかの軽減措置があり、比較的築年数の浅い標準的な住宅や一般的な敷地では、実質的に課税されない(軽減措置によって税額がゼロになる)ケースも多くなっています。
なお、建売住宅や新築マンションなどの家屋については、請負業者から宅地建物取引業者(分譲主)へ引き渡されたときには課税されず、分譲後の購入者に対して課税されます。
ただし、新築後6か月(2020年3月31日までに新築された家屋は1年)を経過した日において売れ残っている家屋については、その時点で宅地建物取引業者(分譲主)に課税されることとなっています。
2015年度の税制改正では、宅地建物取引業者が既存住宅(中古住宅)を買い取って、住宅性能を向上させるなど一定の改修工事を実施したうえで個人へ販売する場合に、宅地建物取引業者に課される不動産取得税を軽減する措置が設けられました。2019年3月31日までの適用です。
page1 ≪不動産取得税の対象≫
page2 ≪不動産取得税の課税標準額と税率≫
page3 ≪住宅に対する課税標準の特例≫
page4 ≪土地に対する税額軽減の特例≫
page5 ≪不動産取得税の免税点と非課税、納付方法≫
page6 ≪不動産を取得したときの申告と徴収猶予、還付を受ける方法≫