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不動産競売の落札価額を検証する(2ページ目)

不動産の競売に参加する人は多くても、落札できる人はごくわずか。ところで、その落札価額は一般の中古相場と比べてどの程度安いのか、実際の事例をもとに調べてみました。皆さんにとってはかなり意外な結果かも!?

執筆者:平野 雅之


ふつうに売却するといくら?

落札の結果を見る前に、各物件ごとの通常の中古市場における成約見込み価額を提示しておきましょう。最後の2物件は 「賃貸中」 であり、賃貸借契約の内容がそのまま引き継がれるもの (いわゆる 「オーナーチェンジ」 )。もちろん、その条件を前提に価額を算出しています。

中古市場での成約見込み価額
物件
築年
間取り
通常の売買による
成約見込み価額
備考
平成10年
3LDK
2,630万円
平成8年
2LDK
2,170万円
平成2年
3LDK
2,600万円
昭和58年
3DK
1,510万円
昭和56年
3LDK
1,000万円
昭和55年
3DK
1,430万円
昭和48年
2LDK
790万円
平成2年
2DK
1,170万円
賃貸中
昭和62年
2LDK
1,270万円
賃貸中

この表で見ると、 「東京23区にしては安過ぎるんじゃないか?」 と思われる人がいらっしゃるかもしれませんが、残念ながら都心部の物件は含まれていません。都心部では競売になる以前に、任意売却手続きによって処分される物件も多いようですね。


それぞれの最低売却価額は?

都市理論どおりの相場にならないのが、中古市場の難しいところ。それぞれの物件に対する最低売却価額および通常の売買価額に対する割合は次のようになっています。一般に競売物件では、不動産鑑定士が鑑定した通常価額の70% (競売市場修正) を基準として、特殊要件がある物件は補正をしたうえで最低売却価額が定められています。しかし、マンションの中古市場における取引事例を基に算出した価額との間には、かなりバラツキがあるのが分かるかと思います。

不動産鑑定士による評価が理論的根拠に基づく価額だとしても、必ずしもそれに則った相場とならないのが中古市場の難しいところ。理論値よりも高く売れる物件やエリアもあれば、その逆も存在します。不動産鑑定士による評価時点と競売実施時点とのタイムラグも少しは影響していることでしょう。

成約見込み価額と最低売却価額
物件
通常の売買による
成約見込み価額(再掲)
最低売却価額
最低売却価額/
成約見込み価額(%)
2,630万円
2,040万円
78%
2,170万円
1,050万円
48%
2,600万円
1,530万円
59%
1,510万円
1,120万円
74%
1,000万円
820万円
82%
1,430万円
1,150万円
80%
790万円
580万円
73%
1,170万円
630万円
54%
1,270万円
940万円
74%



page1 ≪検証の方法と手順
page2 ≪競売物件をふつうに売却すると?≫
page3 ≪落札結果はどうだったのか?



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