住宅購入の費用・税金/住宅ローンのしくみと選び方

必読!住宅ローン控除適用のケーススタディ(4ページ目)

住宅ローン控除の解説を読んでみても、一人ひとりのおかれた立場によって、実際にはどうなるのかよく分からない場面も多いでしょう。また、控除が適用される10年の間には、身のまわりでさまざまな変化も起きます。想定されるいくつかのケースをもとに、住宅ローン控除適用の可否や注意すべきポイントなどをまとめました。(2017年改定版、初出:2005年10月)

執筆者:平野 雅之


転勤により本人が住まなくなったとき

国内の転勤により住宅ローン控除の対象となっている住宅に本人(所有者)が住まなくなったときでも、それが単身赴任であり、家族は引き続き居住しているのであれば、本人も住んでいるものとみなして住宅ローン控除の適用が継続されます。

その他の理由により所有者本人がその住宅を離れて別居した場合、あるいは自己都合などにより家族全員が住まなくなった場合には、その年以後の住宅ローン控除は受けられません。

なお、単身赴任先が海外であった場合には、たとえ家族が引き続き居住していても、住宅ローン控除の適用は受けられないことになっています。


いったん住まなくなった住宅に再入居したとき

住宅ローン控除の適用を受けていた者が、 “勤務先からの転勤命令その他やむを得ない事由により” その住宅に住まなくなった後、その事由が解消して再入居した場合には、改めて確定申告をする(必要な添付書類等は少なくなります)ことにより、残りの期間について住宅ローン控除の再適用を受けることができます。

ただし、居住しなくなる日までに税務署へ所定の届出書を提出していること(やむを得ない事情が認められれば届出書未提出でも救済措置あり)などが要件となるほか、再入居した年において自分が再入居する前に賃貸していた場合はその年の住宅ローン控除が適用されません。

また、新たに住宅を取得して入居したのにもかかわらず、その年中に転勤命令が出たために1年目の住宅ローン控除を適用することができなかった場合(家族もその住宅で居住を続けなかった場合)でも、それが2009年1月1日以降の転居であれば、再入居した年から残りの期間について住宅ローン控除の適用が認められます。

さらに、2013年1月1日以降は、新たに取得していったん入居した住宅を転勤命令によって離れた後、同じ年の12月31日までに再入居した場合には、1年目から住宅ローン控除の適用が認められることとなりました。これは従来、「12月31日まで引き続き居住」という要件を満たさないために、適用が除外されていたものです。

2008年までは「過去に住宅ローン控除の適用を受けていた者」という要件があったため、2008年12月31日以前に住宅ローン控除の適用を一度も受けないまま転勤した場合は、数年内に戻ったとしても残念ながら住宅ローン控除を受けることはできません。所得制限の超過などにより、転勤前に一度も住宅ローン控除の適用を受けられなかった場合も同様です。

なお、海外への単身赴任(家族は引き続き居住)を事由として住宅ローン控除の適用を受けられなくなった後、本人が帰国して再居住した場合には残りの期間について住宅ローン控除の再適用を受けることができます。


日本へ帰任する予定で住宅を購入したとき

海外赴任中の人が日本への帰任を前にして、国内の住宅を購入するケースなどもあるでしょう。このような場合、2016年4月1日以降であれば(他の要件を満たしたうえで)帰国前の取得でも住宅ローン控除が適用されます。

2016年3月31日以前は残念ながら、住宅を取得した時点で日本国内に居住していなかった人に対して住宅ローン控除の適用はありません。


住宅ローン控除適用中の住宅を増改築したとき

すでに住宅ローン控除の適用を受けている住宅において、新たに住宅ローン控除の対象となる増改築工事などをした場合、当初の住宅ローン控除と増改築資金などの借入金に対する住宅ローン控除を併せて受けることができます。ただし、対象金額の計算方法などが若干複雑になりますので、管轄の税務署にお問い合わせください。

なお、中古住宅を購入して、いったん入居する前に増改築工事などをした場合、2009年1月1日以降の入居であれば、増改築資金などの借入分についても住宅ローン控除の対象とすることができるようになりました。それ以前の場合は、入居前の増改築資金に対して住宅ローン控除が適用されません。


親の家を増改築し、その費用を子が負担したとき

増改築費用を負担した子にその住宅の持分登記があり、工事完了後6か月以内(かつ2009年1月1日以降)に親との同居を開始すれば、住宅ローン控除の適用を受けられます。2008年以前には、増改築工事などをする前から同居していた場合に限られていました。



妻が夫の連帯保証人となったとき
夫と妻がお互いに連帯債務者となったとき
連帯債務者の妻が仕事を辞めたとき
住宅ローンとは別に住宅取得資金の贈与を受けたとき
オーバーローンを組んだとき
繰上返済によって返済期間の短縮をしたとき
年末に一部繰上返済をしたとき
住宅ローンを借り換えたとき
勤務先の会社が所有していた住宅などを安価に譲り受けたとき
土地を先行取得してから建物を新築したとき
定期借地権による住宅を購入し、保証金を支払ったとき
転勤により本人が住まなくなったとき
いったん住まなくなった住宅に再入居したとき
日本へ帰任する予定で住宅を購入したとき
住宅ローン控除適用中の住宅を増改築したとき
親の家を増改築し、その費用を子が負担したとき
店舗付住宅、事務所併用住宅を取得または増改築したとき
セカンドハウスを購入したとき
住宅ローン控除の適用期間中に年収が3,000万円を超えたとき
住宅ローン控除を受けていた本人が亡くなってしまったとき、災害のとき

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