新築家屋の評価額はいくらになる?
家屋が新築(または増改築)されると、市町村(東京23区は都)の担当者によって家屋調査が行なわれ、新たに評価額が定められることになります。市町村では登記資料などにもとづく新築家屋などのリストアップのほか、毎年1月1日に撮影された航空写真を用いて対象家屋の洗い出しをしている市町村もあるようです。
家屋の評価額において、物件による単価の差はそれほど大きくない
しかし、新築家屋の所有権保存登記を申請するとき、その時点では市町村による調査が実施されておらず固定資産税評価額も決定していないことが大半でしょう。
そこで、固定資産税評価額が定められていない家屋について所有権保存登記や所有権移転登記を申請する場合には、法務大臣(総務大臣ではありません)の定める基準により各法務局、地方法務局の管内ごとに定められた「新築建物課税標準価格認定基準表」をもとにして税額が計算されます。
ちなみに、東京法務局管内の「新築建物価格認定基準表」(2015年度~2017年度適用分)によれば、木造の居宅が1平方メートルあたり87,000円、鉄骨造の居宅が同112,000円、鉄筋コンクリート造の居宅が同132,000円などとなっています。
一方、不動産取得税が課税されるまでには数か月のタイムラグがあるため、不動産取得税が請求される前(あるいは課税されないことが決定するまで)に市町村による調査が行なわれます。ただし、近年は調査が間に合わずに課税が遅れるなど問題が生じている自治体もあるようです。
その際に決定される価格は、木造一戸建て住宅で1平方メートルあたり8~10万円程度となり、木造の建売住宅では同9万円前後に落ち着くことが多いようです(東京23区の場合)。
マンションの場合には同13~18万円程度と若干幅が広いのですが、構造などによる違いのほか共用部分の持分も価格に含まれるためです。
地方圏ではこれよりも少し低い単価になりますが、エリアの違いによる補正がそれほど大きなものではないため、あまり極端な差を生じることはありません。
そして、新築された翌年(課税初年度)に初めて固定資産課税台帳に価格が登録されるわけですが、この時点ではすでに新築時から日数が経っています。そのため経年による減価分(月数は考慮されない)として、新築時に算定された価格から2割が控除されます。
したがって、たとえば新築時点で1平方メートルあたり90,000円の評価をされた木造家屋が新たに登録されるのは、同72,000円となるわけです。
雑誌や民間のwebサイトによる試算例などで、たとえば「木造一戸建て住宅、延床面積100平方メートル」の場合に、固定資産税評価額を「1,500万円」あるいは「2,000万円」などと仮定したうえでシミュレーションをしているものも多く見受けられますが、よほど特殊な事情がないかぎり、そのような高い評価額になることはないでしょう。
固定資産税と都市計画税の税額を試算すると……
それでは、ようやく本題の「固定資産税と都市計画税がいくらかかるのか」ですが、みなさんもすでにお分かりのとおり、取得する物件によって税額はまったく異なります。住宅の規模によって大きく異なりますし、とくに土地の価格については、東京都心部と地方都市では十倍以上も違います。同じ東京23区内の土地でもかなりの差があるのですから、実際の税額は個々に調べてみないと何ともいえません。
ここではいくつかの試算例を提示しますが、それぞれを比べてみてもあまり意味はなく、あくまでも参考にとどめてください。
下表において税額の計算過程は省略しますが、いずれも軽減特例などの適用を受けられるものとします。東京23区の場合には、小規模住宅用地にかかる都市計画税の2分の1軽減の特例を盛り込んでいます。
また、便宜上、表示期間内における評価額の改定はないものとします。
長期優良住宅、耐震改修工事、バリアフリー改修工事、省エネ改修工事などによる固定資産税などの減額は対象外としています。
さらに、負担水準の調整措置による課税標準額の補正などは考慮していないため、とくに東京の土地などでは評価額に比べて(下記試算より)実際の税額が少ないケースも多いでしょう。
税率はいずれも固定資産税1.4%、都市計画税0.3%にて計算しています。固定資産税などの軽減措置の内容については ≪固定資産税と都市計画税の基礎知識≫ でご確認ください。
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