都市部でマンションを購入するとき、隣に空き地などがあれば別のマンションが新たに建てられる可能性も考えなければなりません。
(東京都墨田区 匿名 20代 女性)
まず、建ぺい率と容積率の制限だけで考えてみましょう。たとえば建ぺい率が60%、容積率が300%の敷地だとして、(制限の緩和や付加は考えずに)建ぺい率を限度まで使えば5階建てのものが建つことになります。
これは単純な考え方で、容積率の数値(300)を建ぺい率の数値(60)で割った答え(5.0)によるものです。同様に建ぺい率が80%、容積率が300%の敷地であれば一部を3階建てにした4階建てのものまで建てられます。
実際に何階まで建つのか、簡単そうで実は難しい
極端な例で考えると、もし広い敷地で建ぺい率を10%分しか使わずに建てるとすれば、同じ300%の容積率の敷地でも30階建ての建物が可能でしょう。
ところが、建ぺい率と容積率による制限だけでなく、実際には各種の斜線制限や日影規制、高度地区の制限などもあります。また、以前は低層住居専用地域だけだった「絶対高さ制限」も、自治体ごとの条例により他の用途地域でも定められるようになってきました。
それらの制限を組み合わせたうえで、事業の効率なども勘案して、通常は建物の階数が常識的な範囲内に収まるのです。
ところが、近年は建物の高さを緩和する制度も次々に導入されており、話はたいへん複雑になってきています。
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