土地購入/土地購入・売買・契約のポイント

建築条件付土地売買のときの媒介手数料は?(2ページ目)

建築条件付土地の売買契約を締結したときに、建物の代金を含めた総額に対する媒介手数料を要求される場合があるようです。これが法的にどうなのか、その問題点を考えてみましょう。(2015年改訂版、初出:2006年9月)

執筆者:平野 雅之


まず、宅地建物取引業法では「建築確認を受けた後でなければ建物に関する広告や売買契約の締結をしてはならない」ことになっています。

この制限を回避することを目的として(実質的には土地と建物の売買契約でありながら)、建物についてはとりあえず「建築工事請負契約書」とし、建築確認を受けてから「売買契約書」に差し替えるのであれば、それは明らかな違反行為あるいは脱法行為であり、売主業者と媒介業者がともに処分を受けることになるでしょう。

ところが、もともとは建売住宅(土地と建物の売買)でそれが未着工だったとき、買主の要望を取り入れるために建築確認を受け直す必要が生じ、その結果として便宜上「土地の売買契約」と「建物の建築工事請負契約書」に分けた場合はどうでしょうか?

このようなケースで後から契約書を差し替えて一本化する(契約締結日は新たな建築確認の日付以降にする)こと自体には違法性がないものと考えられ、建物を含めた総額に対して媒介手数料を請求されたとしても、それが不当だとはいえないでしょう。

設計変更によって建物価格が増えた場合に、その増価分を手数料の対象にしてよいのかどうかという曖昧な点も残りますが……。

建築工事前の土地

「建築条件付土地売買」はあくまでも「土地の売買」。媒介手数料の前提となる媒介行為も、土地だけにしか成立していない

これらを踏まえたうえで「建築条件付土地売買契約」の場合を考えてみると、売買の対象はあくまでも土地であって、そこに建物は含まれていません。

また、建物の設計は買主の希望を反映してプランニングされることが「建築条件付土地売買契約」の前提です。

そのため、建物の設計があらかじめ決まっていたり、選択肢が極めて少なかったりする場合などには、宅地建物取引業法による制限を不当に回避する目的の違反行為とみなされる可能性も高いでしょう。

さらに、あくまでも「土地の売買」である「建築条件付土地売買契約」のときには、媒介業者が媒介した対象物件も土地だけなのですから、契約書を一本化して媒介手数料を建物代金込みの総額で計算したとすれば、それを買主へ請求した時点で違反行為となってしまいます。

しかし、現実問題として不動産業者からそのような要求をされたとき、どのように対応すればよいのか困ってしまうケースが大半でしょう。

媒介手数料にかぎらずお金の支払いが絡むことについては、契約を締結する前の段階ですべてを明確にしておくことが大切です。「何となく聞きづらい」などと遠慮してはいけません。

それで曖昧な点や、不動産業者が口を濁すような点があるのなら、その契約を締結しないことも考えるべきです。

なお、住宅ローンを申し込む際の都合で便宜的に契約書を一本化して差し替えるケースもあります。そのときも媒介手数料の話は切り離して、土地代のみを対象にしなければなりません。


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