宅地建物取引業法詳説〔売買編〕の第12回は、第31条(業務処理の原則)および第32条(誇大広告等の禁止)についてみていくことにしましょう。

 (業務処理の原則)
第31条  宅地建物取引業者は、取引の関係者に対し、信義を旨とし、誠実にその業務を行なわなければならない。
  宅地建物取引業者は、第五十条の二第一項に規定する取引一任代理等を行うに当たつては、投機的取引の抑制が図られるよう配慮しなければならない。
 
 (誇大広告等の禁止)
第32条  宅地建物取引業者は、その業務に関して広告をするときは、当該広告に係る宅地又は建物の所在、規模、形質若しくは現在若しくは将来の利用の制限、環境若しくは交通その他の利便又は代金、借賃等の対価の額若しくはその支払方法若しくは代金若しくは交換差金に関する金銭の貸借のあつせんについて、著しく事実に相違する表示をし、又は実際のものよりも著しく優良であり、若しくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはならない。

信義誠実の原則

第31条は「業務処理の原則」という表題になっていますが、一般的には「信義誠実の原則」あるいは「信義則」といわれ、不動産取引にかぎらず、社会生活上の取引全般などにおいても守られなければならない大原則です。

ただし、基本中の基本となる原則である反面、その概念はあいまいな部分が多くなっています。たとえば、宅地建物取引業者に誠実さが足りないと感じても、そのことだけを理由にして法律違反を問うことはできないでしょう。

また、契約(予定)物件などに対する宅地建物取引業者の調査義務(正確な調査を行なう義務)は、この「信義誠実の原則」から導かれるものとして解釈されますが、たとえば「売主の資力調査は業務の範囲外である」という見解が建設省(現、国土交通省)から示されています。

もし、購入した中古住宅などで売主(個人)の瑕疵担保責任を問うような欠陥が見つかったとき、売主の資力がないために何ら補償を受けられなかったとしても、それを媒介した宅地建物取引業者には責任がないことを国が認めているわけです。

  新築住宅の売主業者などについては、今年(平成21年)10月1日から資力確保措置が義務付けられているため、「どのような資力確保措置を講じているか」を確認する責任は媒介業者にあると考えられます。

なお、第31条第2項の「取引一任代理等」とは、宅地建物取引業者が投資信託や投資法人としての認可を受けて行なう取引などに関することであり、ここでは説明を省略します。

誇大広告、おとり広告、虚偽広告は禁止

第32条による「誇大広告等の禁止」には「誇大広告」だけでなく、「おとり広告」(実際には他の物件を売ろうとする目的のもの)や「虚偽広告」(実際には存在しない物件の広告)も含まれるものとされています。

また、「人を誤認させるような表示」とは、実際に誤認をしたかどうかという結果ではなく、誤認をさせるおそれがあるかどうかが問題となります。

ただし、法に規定する「著しく事実に相違する表示」「著しく優良」という基準はあいまいで、どの程度が「著しく」なのか分からないケースも少なくないでしょう。「ちょっとだけなら誤認させても構わない」という意味に解釈できないこともありません。

実際の不動産広告にあたっては、国土交通省が定めた表示項目の基準のほか、不動産公正取引協議会による「不動産の表示に関する公正競争規約」で一つひとつの細かな広告表示ルールが定められています。しかし、不動産広告はその物件を売ることが目的なのですから、宅地建物取引業者は表示ルールを守ったうえで「いかに良く見せるか」に知恵を絞っているのも事実でしょう。

国土交通省による例示では、「借地権を所有権と誤認させるような表示」「(根拠なく)市街化調整区域が市街化区域になるかのような表示」などを法律違反としていますが、数字や言葉が明らかに違うものはともかくとして、一人ひとりの感覚や印象による表現については、それが使用禁止用語などでないかぎり、違反かどうかがなかなか分からない部分も多いものです。

一定の表示ルールを守った不動産広告が大半のはずですが、わずかに存在する違反広告に飛びついたり、心を動かされたりしないように気をつけることが大切です。

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