建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

山中祐一郎さんの独立デビュー作 空中リビングが心を解放する家(2ページ目)

『建築家と家をつくる愉しみ』で紹介した若手建築家の旗手の一人、山中祐一郎さんがS.O.Y.建築環境研究所として初めて建てた住宅が善福寺公園近くに竣工したと聞いて、見てきました。

執筆者:坂本 徹也

2階はほんとにわかりやすく、セミパブリックなリビングと、プライベートな時間を楽しむ畳敷きのフレキシブルルームに分かれています。そしてその2つを結んでいるのが廊下を兼ねたキッチンということ。寝室から上がるらせん階段は、この畳の部屋に繋がっているわけですね。そして階段は、そのまま少し上がってご主人の小さなDENへと導いてくれます。小さいながらも、そこには自分だけが籠もれる“宇宙”がぽっかり存在していました。

 

 

そしてこの家の最大のハイライトは、このパブリックなリビングとフレキシブルルームの2つの間に設けられたアウターリビングでしょう。土が敷かれ芝生が植えられたアウターリビングは、ちょっとした空中庭園。リビングとフレキシブルルームは、いずれもこの空中の庭に向かって最大級の開口部を持っており、視線がお互いの空間を行き来できるようになっています。その解放感はちょっと得がたいもの。まるで中庭付きの高級旅館にでも来ているような気分が味わえます。

天井が高くモダンで洗練されたリビングと、落ち着きある畳のフレキシブルルーム。2つの違ったシークエンスが、この空中庭園を介してみごとに調和しているわけですね。建て主さんはお医者様で、「小鳥と孫たちが楽しく集える家を」というのがオーダーだったとか。アウターリビングに面した開口部を全部開け放って、家族みんなが遊ぶ姿が目に浮かぶようでした。

もうひとつ特筆すべきは、山中さんはこの家をガイド記事でも紹介しているコンペサイトの「HOUSE COMPETITION」で選ばれて設計したということ。建て主さんはお孫さんがおられるような年齢であるにもかかわらず、ネットのコンペを使って建築家と家を建てた人なわけです。今後は、こうした高齢の方もどんどんネットを活用する時代になっていくのでしょう。

『建築家と家をつくる愉しみ』
山中祐一郎士についてのガイド記事
「HOUSE COMPETITION」

設計監理:山中祐一郎+尾澤ミユキ
     /S.O.Y.建築環境研究所 U1soy@aol.com

構造設計:岡村仁/空間工学研究所
施工  :相沢建設
 ●敷地面積:215.88m2
 ●建築面積:84.2m2
 ●延床面積:118.3m2
 ●構造  :RC造+木造2階建て

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