若い時から「老後は都心で」と決めていたHさん。これまで22年間奥多摩にお住まいでしたが、幼い頃の記憶が残る日本橋に自邸を建てるにあたって、スタジオ・アルテックを主宰するベテラン建築家の室伏次郎さんに設計を依頼されました。
「都会の真ん中にありながらも、自然を感じながら暮らしたい」というHさんの希望を叶えるため、室伏さんは、伝統的町家の手法を踏まえながら、「重層する通り庭」という町家の新しい形式を体現する発想により、厳しい条件をものともしない理想的な住まいを実現させたのです。

都心のペンシル型コンクリート住宅


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外観
1. 北側の外観。高さは約14m。最上階の外壁はガルバリウム鋼板角波スパンドレル。
外観
2. 東南側の外観。3階と4階に渡る大窓の内側は階段室。
外観
3. 金属で覆われた1階のファサード。右の開口はカフェ&バーのフィックス窓。写真:スタジオ・アルテック
玄関
4. 玄関扉は目の荒いエキスパンドメタルの吊りの引戸。玄関扉の枠と一体でデザインされたインターフォンと、枠と仕上げを揃えた金属製の郵便受け。




歴史ある日本橋室町。近年の再開発によって建ち上がった高層ビル群の奥には、手つかずのままの低層のオフィスビルや小さな店舗が建ち並ぶ路地が残されています。
その一画にHさんのご自邸が建っています。1階はカフェ&バー、その上の2階から5階が住宅という約10坪の土地に建つ建物です。
この敷地は中央区の街並み誘導型築計画の地域に入っていて、1階を店舗とすることで建物の容積率と道路斜線の緩和により斜線制限が無くなり、容積を最大限に活かしきることができたのです。さらに、最上階を鉄骨造とすることで建物全体の重量を軽くして軟弱地盤への対策としています。

◆建築データと建築家プロフィール