建築家・設計事務所/建築家住宅の実例

進化するコーポラ「N’s Bau」(4ページ目)

渋谷区西原に建ったコーポラティブハウスのレポート第2弾。ゼロワンオフィスが「team2DK」と共同で設計したこのプロジェクトには、住まい手たちが求める自由と対話という2つのテーマが込められていました。

執筆者:坂本 徹也

広場からプライベート空間へ、人の動線が見える

最後は約76m2のH住戸。こちらは1階には玄関しかなく、すべての生活機能が地下に詰まった居住空間です。

パティオに繋がるエントランス、ファッションビルのよう

別の角度から見たパティオ、左手にシューズボックス

といっても、この玄関はそのままパティオと繋がっていてなかなか素敵。真っ白な石タイルと壁が都心のブティックに来たような気分にさせてくれます。らせん階段の手摺りに、宙に浮くような形で付けられたシューズボックスも、よけいなものを捨て去った潔さを感じさせてくれますねー。

宙に浮く白いシューズボックス、オシャレー!

さてらせん階段を下りると、そこには広場のような大リビングがあり、そこから枝分かれするように、DEN(書斎)を包み込んだ木の収納壁と、白い壁で仕切られたプライベート空間(主寝室+水回り+キッチン+子ども部屋)が一直線に並んでいます。

リビングからの眺め、まるで広場のような感覚

なんという不思議な感覚! 未来の住宅を見ているような感じとでもいいましょうか。とりわけDENは大容量の収納が可能な壁の向こう側にある異質な空間で、しかもそこが地下のパティオと繋がっている。ここには、壁に穿たれた窓のような穴をまたいで入るのですが、まるでよそのお宅にお邪魔する(?)ような感覚になります。DENは、居住空間と外とを繋ぐ緩衝地帯ということなのでしょうか。

浮遊感のある収納壁、リビングにはドライエリアがある

壁の向こうにあるDEN、地下のパティオに出られる

そしてもう一方の白い壁の向こうには、バスルームとキッチンを隔てて2つの個室がありますが、キッチンと子ども部屋の建具は1本のレールで吊られ、必要に応じて開け放つことができるようになっていて、空間のバリエーションを増やす工夫がなされていました。
シンプルだけど、大胆な発想。ここでの親子3人の暮らしはどんなものになるのでしょう。ちょっとワクワクしますよね。できれば、この大リビングにはなるべくモノを置きたくないと感じるのは、私だけでしょうか。

もうひとつの壁の中の水回り
シンプルで使いやすそう
キッチンと子ども部屋の建具は
1本のレールで吊られている

ゼロワンオフィスの7つ目のコーポラティブハウス「N's Bau」、いかがでしたか? みんなが集まれるパティオをつくるという従来のゼロワンらしさも、若い設計集団「team2DK」と組んだ意外性も、あますところなく発揮された集合住宅だったと思います。今後、こうしたコラボレートが進むことで、また新しい発想のコーポラティブハウスが生まれることを期待していきたいと思いました。

A~D住戸はこちらからどうぞ!


企 画 :ゼロワンオフィス一級建築士事務所
設計監理:ゼロワンオフィス一級建築士事務所+team2DK
構造設計:大賀建築構造設計事務所
施 工 :松尾工務店
総合監修 :伊藤 正 ゼロワンオフィス

敷地面積:392.48m2
建築面積:201.31m2
延床面積:643.53m2
住戸面積:70m2?97m2
主体構造:鉄筋コンクリート造 
規 模 :地下1階、地上3階

ゼロワンオフィスのコーポラティブハウス作品一覧↓
 「sakuramira」
 「M-Split」
 「T-Treppe」Part1」
 「T-Treppe」Part2」
 「J-alley」Part1」
 「J-alley」Part2」
 「J-patio」Part1」
 「J-patio」Part2」
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