年金

働く人のセイフティネットとリタイアメントプラン(3ページ目)

若い世代がライフプランやリタイアメントプランを考えるときのポイントの1つに社会保険制度のセイフティネットがあります。社会保険制度のセイフティネット機能を利用して仕事を続けることは、収入を確保するだけでなく、将来の年金を確保することにつながります。今回は社会保険制度のセイフティネットとライフプランの関係をご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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仕事を続けるためのセイフティネット~育児休業の改正

共働きでも夫婦での育児が可能に?

共働きでも夫婦での育児が可能に?

今年1月の完全失業率は4.9%となり、昨年3月以来10ヵ月ぶりに4%に回復しました。また、3月に厚生労働省が発表した1月の有効求人倍率も0.46倍と4ヵ月ぶりに上昇し、統計上は雇用情勢の改善が現れたことを示しています。ただし、有効求人倍率は求人数(企業が求人している数)を求職者数(仕事を求める人の数)で割った数値なので、改善しても2人に1つの仕事が紹介されない状態にとどまっています。さらに、有効求人倍率を正社員のみの求人で計算した数値は0.29倍と非常に低い値となっています。1度仕事を辞めてしまうと、正社員としての再就職が難しいことが統計からも読み取ることができます。

その反面、仕事と家庭の両立が難しいと訴える女性も多く、働く女性の約7割が第1子を出産した後、離職するといわれています。こうした状況を受けて、今年6月に育児休業法が改正される予定(※)です。おもな改正内容は次の通りです。

※従業員100以下の企業では3年間の猶予期間があります。

1.子育期間中の働き方の見直し
子どもが3歳になるまで1日6時間の短時間勤務制度の導入、残業の免除が事業主の義務となります。また、子どもが小学校に入るまで年間5日の看護休暇が取得できますが、改正により子どもが2人以上いる場合は年間10日の看護休暇が取得できるようになります。

2.父親の子育て参加の実現
育児休業は原則子どもが1歳になるまでの期間ですが、共働き世帯で夫婦が育児休業を取得する場合は子どもが1歳2ヵ月になるまで取得できるようになります。
(厚生労働省HPより)

(厚生労働省HPより)

また、育児休業は連続して取得することが条件ですが、父親については妻の出産から8週間以内に育児休業を取得した後、もう1度取得できるようになります。
(厚生労働省HPより)

(厚生労働省HPより)

1.は子育期間中の短時間勤務や残業の免除を望む女性の声を反映した改正で、2.は共働き世帯の増加と育児休業の取得を望む男性の声を反映した改正とされています。

育児休業の歴史は意外に古く、1972年に「勤労福祉法」という法律の中で初めて誕生した制度です。その当時は女性のみが対象で、現在のような義務規定ではなく努力規定にとどまっていました。その後、1992年に施行された「育児休業等に関する法律」で男性にも対象が広がり、1999年に介護休業の制度も追加された「育児・休業法」が施行されました。その後も法改正が行われ、労働者のニーズや時代の変化に合わせて育児休業は仕事を続けるためのセイフティネットとしての機能を充実させています。

20~30代の若い世代にとってリタイアメントプランは遠い将来のものとして実感がないものかもしれませんが、現在の雇用情勢からみると「仕事を続ける」ことが、まずはポイントになるともいえるでしょう。雇用を守るセイフティネットを十分に利用して、働き続けることで、将来的には、充実したリタイアメントプランを目指しましょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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