四川料理
色鮮やかなチベット料理 (C)AbeMie
当然ながら、四川省の郷土料理は四川料理です。痺れるような辛さが特徴で、一般的に「川菜( チュアンツァイ)」と呼ばれます。
中国の他の地方の料理に比べても、かなり香辛料を多用しているため、日本人には苦手な人も多いかも知れませんが、逆に、ハマル人はとことんハマル味。
四川省は湿度が高く、夏と冬の寒暖の差が大きいため、辛いものを食べて汗をかき健康を保つ必要があるのだそうです。スパイスの効いたインド料理やタイ料理もそうですが、高温多湿の地域ならではの食の工夫なのでしょう。ただし、西部の山岳地域では、四川料理ではなく、チベット料理が主体となっています。最近では、都市部でもチベット調理のレストランができ、漢族がエスニック料理として味わう姿もみられるようになりました。
大人気「四川火鍋」
辛口と白湯2種類のスープ
四川料理で忘れてはならないのが鍋料理。今では、
中国全土に広がり、至るところに「四川火鍋」の店が出来、夏でも皆フーフーしながら食べています。四川では、特に「麻辣火鍋」といって、舌が痺れるような辛さが特徴の鍋を好み、どこの家庭でも専用の鍋と種類豊富な香辛料を常備しているそう。四川の地形が盆地であることと、四川の人がよく「麻辣火鍋」を食べることをかけて、「四川は大盆地、火鍋は小盆地」というジョークがあります。これは、両方熱いことと、鍋の形が盆地のように突起しているからでしょう(写真は別種)。
日本の国民的中華
本場のマーボーは辛さが極めて
マーボー豆腐にエビチリ、そしてチンジャオロースとホイコーロー、どれもお馴染みの中華料理ですね。実は、これらはすべて四川が本場なんです。中華料理と一言で言っても、
中国は広大ですから、東西南北で味も素材もだいぶ変わってきます。日本には、福建料理、広東料理、そして満洲料理(東北料理)の順で広まり、なんと四川料理は戦後にようやく登場したのだそうです。
日本ではすでに中華という枠を飛び越えて、家庭料理化した感のあるマーボー豆腐やチンジャオロースが、他の中華より後に伝わったというのはかなり意外。日本に四川料理を広めた第一人者として知られる陳建民氏ですが、紹介するにあたって、日本人の好みに合わせてかなりアレンジを加えたようです。例えば、ホイコーロー、本場ではキャベツは一切入っていません。「は~? 何言ってんの?」と笑われそうですが、タマネギとピーマンと豚肉を炒めたもの、これが本当の回鍋肉(ホイコーロー)なんです。ぜひ一度、本場で味わってみてください!