年金

老後の介護・医療保障と年金(3ページ目)

高齢者の生活は公的年金だけでなく、介護保険や長寿医療制度によって支えられている部分もあります。老後の資金計画を立てる上で、介護保険や長寿医療制度をどのくらい利用できるのか大きなポイントになります。今回は、老後の介護・医療保障についてご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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長寿医療制度と保障内容

年齢とともに負担が大きくなる医療費。長寿医療制度からの給付は?

年齢とともに負担が大きくなる医療費。長寿医療制度からの給付は?

長寿医療制度は平成20年4月に始まりました。長寿医療制度が始まる以前は老人保健制度により高齢者医療は行われてきましたが、長寿医療制度はどんなところが違うのかはじめにみてみましょう。

平成20年3月までの老人保健制度とは独立した「保険」制度ではなく、健康保険や国民健康保険などの各医療保険制度に加入している人のうち、原則75歳以上の人が受けられる医療と自己負担を共通化する制度でした。加入する医療保険制度が異なるので、国民健康保険の被保険者として国民健康保険料を納付している人、健康保険に被保険者として加入して保険料を納付する人、健康保険に加入する家族の被扶養者になって保険料は負担しない人など、保険料の負担については人それぞれでした。

長寿医療制度は、老人保健制度と違って原則75歳以上の人が被保険者として加入する「保険」制度なので、対象となる人は同じ仕組みで算出した保険料を納付します。長寿医療制度の保険料は、1人当たりの保険料が定額になっている「均等割」と各人の所得に応じた「所得割」からなっています。ただし、現在は世帯の所得に応じて均等割の負担軽減が実施されており、さらにこれまで家族の健康保険の被扶養者だった人は均等割の9割免除と所得割の全額免除が行われています(平成22年3月まで)。長寿医療制度は都道府県ごとに運営されている制度なので、均等割の保険料・所得割の保険料の所得に対する負担割合は都道府県により異なりますが、保険料の上限は全国一律で年間50万円です。

長寿医療制度の保険料は、月額15,000円以上の年金を受給している場合は年金から天引きされるか、口座振替で納付します。口座振替は被保険者本人以外の預金口座(世帯主や配偶者など)からも振替できます。

このように老人保健制度と長寿医療制度では、制度の仕組みや保険料の負担については違いがありますが、病院にかかった場合の自己負担などはほぼ同じです。一般的な所得の人は医療費の1割、現役並みの所得がある人は医療の3割を自己負担します。また、高齢者の医療費で、現役世代と仕組みが異なるのは高額療養費の計算方法です。特に高齢者が外来診療で負担した医療費は、1ヵ月の合計額が下記の金額を超えると高額療養費として還付されます。
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さらに、一般の高額療養費のように、病院ごと・診療科ごとといった区別をせずに1ヵ月間に負担した外来診療の自己負担をすべて合計することができます。また、高齢者の場合は医療費の負担だけでなく介護保険を利用した場合の自己負担分を合算した金額が以下の金額を超えると、超えた分が還付されます。
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昭和48年に70歳以上の高齢者の医療費を無料化されましたが、その後高齢者の多くが加入する国民健康保険の財政が厳しくなり、昭和58年老人保健制度が始まりました。老人保健制度が始まった後も各医療保険制度の財政は厳しく、対象年齢の引き上げなどの改正が行われました。制度の改正を行っても、高齢者の医療費の増加が支えきれなくなり、すべての高齢者が保険料を負担する長寿医療制度が平成20年に始まりました。

「健康で長生き」という老後は理想的な老後ですが、医療技術の進歩に伴い、医療費は高額なものになっています。希望する医療を受けるためにも、公的な制度の仕組みをよく理解し、不足する恐れがある部分は早いうちから準備しておくことが必要でしょう。

少子高齢化が進む中、介護と医療の分野は以前に比べてずいぶん変わっています。若いうちは、介護や医療が必要になる自分の姿は想像できないかもしれませんが、充実した介護サービス・希望する医療を受けるために、早めに準備を始めましょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。
 

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