年金

老後の介護・医療保障と年金(2ページ目)

高齢者の生活は公的年金だけでなく、介護保険や長寿医療制度によって支えられている部分もあります。老後の資金計画を立てる上で、介護保険や長寿医療制度をどのくらい利用できるのか大きなポイントになります。今回は、老後の介護・医療保障についてご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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介護保険と保障内容

介護保険の手続きと利用限度は?

介護保険の手続きと利用限度は?

それでは、実際に社会保障のうち公的な介護保険を利用する場合の手続きや保障内容をみていきましょう。

介護保険は平成12年4月に始まった制度ですが、平成18年4月に大きな改正が行われ、介護が必要な人に対する給付だけでなく、要介護状態になることを予防するための給付も行われています。

現在の介護保険における要介護状態区分は以下の通りです。
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介護保険制度が始まった当初は1区分しかなかった要支援状態が2段階になり、さらに要介護状態に該当しない場合でも要支援・要介護になるおそれがあると認定されると、介護予防事業として市町村が行う運動指導や栄養支援、認知症予防の事業などを受けることができます。

介護保険の利用にあたっては、はじめに市区町村が行う要介護認定を受ける必要がありますが、要介護認定は以下の手順で行います。
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介護認定により要介護状態と認定されると、ケアマネージャーによるケアプランの作成が行われ、ケアサービスを受けることができます。ただし、要介護区分により1ヵ月の利用限度額が決まっています。
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上記の利用限度額の原則1割は自己負担が必要です。また、要支援状態で利用できるサービスは自宅受けるサービスが中心で、介護施設でのサービスは日帰りのデイサービスと短期入所のショートスティのみです。要介護状態の場合は施設介護も利用できますが、食費や光熱費等に相当する生活費の一部を自己負担します。実際に介護サービスを利用する場合の費用は地域や内容によっても異なりますが、東京都内でホームヘルパーに身体介護を依頼すると30分以上1時間未満で約4,300円(自己負担は1割の430円)です。要支援1では月の利用限度額が49,700円ですので、介護保険の範囲内では十分なサービスが受けられない恐れもあります。

また、介護施設に入居して介護サービスを希望しても、空きのある施設を探すことが難しいという現実もあります。有料老人ホームを利用する場合は、入居一時金や毎月の利用料などを負担しなければなりません(有料老人ホームの詳細は「長生きリスクに備えるために~積立てはいくら必要?」をご覧ください)。

今年6月には育児介護休業法が改正され、家族の介護のために毎年取得できる休暇制度が始まりますが、「家族には負担をかけたくない」と考える人も多いでしょう。介護保険は市町村が実施する制度なので、介護に関するサービスや費用については地域ごとに違いがあります。早めに自分の住む地域での介護の現状を調べてみると、より具体的なサービスに内容や自己負担を把握できるでしょう。
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