【フラット35】では火災保険の契約は義務
一定要件を満たした火災保険に入らなくてはならない
融資を受けられる建物は、一定基準を満たした良質な建物であることが必要ですが、保証料や保証人が不要、また団体生命保険は任意加入であることなど、独自の特徴や利用条件があります。
諸々の利用条件の中には、火災保険についての定めもあります。住宅金融支援機構のホームページを確認してみますと、「ご返済を終了するまでの間、お借り入れの対象となる住宅に、住宅金融支援機構の定める要件を満たす火災保険を付けていただきます」とあります。どんな火災保険ならOKなのでしょうか。
火災保険・火災共済のいずれの商品も「OK」
わが家に合った火災保険を、信頼できる先から選びたい
具体的に言うと、保険業法の規制をうける保険会社の扱う火災保険商品、あるいは生協法の規制を受ける共済団体の扱う火災共済商品などであれば、どのような商品でも要件を満たすことになります。なお、共済団体の扱う火災共済とは、全労済・都道府県民共済・コープ共済・JA共済などが該当します。これらは認可共済といわれる団体で、これらが取り扱う「火災共済(全労済・コープ共済連)」・「新型火災共済(都道府県民共済)」・「建更むてきプラス(JA共済)」ならいずれもOKです。
ただし、住宅金融支援機構の特約火災保険は契約できません。かつて旧住宅金融公庫で公庫融資を受ける場合には、ローン返済期間をカバーする特約火災保険への加入が義務づけられており、火災保険の内容を検討する余地はありませんでした(※「選択対象火災保険」を除く)。
一方、住宅金融支援機構が提携してはいるものの、【フラット35】は民間ローンの1つです。「官から民へ」という流れの中で生まれたローンですから、融資に伴う火災保険についても、「民」すなわち個々の銀行や保険会社などに、内容の提案は任せられているのです(※特約火災保険の新規契約引受は、2016年3月31日融資受付分をもって終了しています)。
私たちにとっては、どこでどのような商品を選ぶもおおむね自由ということ。だからこそ、マイホームのリスク状況に合った商品を、信頼できる先から購入したいものですね。
保険期間は自由に設定できる
【フラット35】では、火災保険の期間は原則、自由
保険期間や火災保険料の払い込み、または、火災保険金請求権への質権設定の取り扱いは、取り扱い金融機関によって異なりますので確認してみましょう。
ちなみに、「質権」というのは金融機関が債権の保全を図るための措置です。たとえば、ローン返済中にその建物に火災が起きたとします。そこで質権者である金融機関が質権を行使しますと、その金融機関は火災保険契約から支払われる保険金から優先的に残債分の弁済を受けることができます。
ただ昨今では、債権の保全につながらないケースもあり、金融機関が火災保険に質権を設定することは少なくなってきています。
1~5年契約なら、常に実態に合った補償が確保できる
長期の火災保険でも契約途中での見直しは可能
ところで、マイホームの価値は時間の経過とともに変わるもの。時間が経てば古くなって価値が落ちるとは言え、物価が上昇すれば、マイホームを再建築するための価格は上がります。
よって火災保険金額の見直しは必須なのですが、上記のような現状もあり、火災保険は長期契約が多いもの(※2015年10月以降の新規契約では、火災保険期間は最長でも10年契約までとなります)。何となく契約時のまま見直していない方が多数です。あるいは、長期の火災保険は見直しできないと思っている方もいますが、これは誤解。通常の長期火災保険はもちろん、旧住宅金融公庫で融資を受けた時に入った、質権のついた特約火災保険でも、保険金額などの見直しはできます(※質権が付いている場合は、質権者の承認が必要ですが)。
火災保険は長期であるほど大きな割引が適用されます。よってトータルで見た火災保険料は、1年ごとに保険料を支払い、契約を継続していく場合よりも、長期一括払い契約のほうが安くはなります。ただ、最初にまとまった保険料が必要になること、契約後も定期的な見直しが必須であること、新しい火災保険が登場することなどを踏まえると、1~5年程度の契約もおすすめです。これなら常に、時代や実態に合った補償を確保することができます。当面の保険料もぐっと抑えられますから、昨今の厳しい家計にもやさしいですね。
【関連リンク】
【フラット35】(住宅金融支援機構)
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