日本国内には、さまざまな桜の名所がありますが、その中で「日本三大桜」と称される桜があります。根尾の淡墨桜(岐阜県)、三春の滝桜(福島県)と山高神代桜(山梨県)の3つの桜です。
この中で山高神代桜は、樹齢2000年に達する古木にも関わらず、春の訪れと共に毎年多くの花を咲かせて、お花見に訪れる人々を魅了し続けています。
今回は、日本三大桜の中で1番の古木である山高神代桜をご紹介します。他の桜とはひと味違う美しい風景をご覧ください。
<目次>
樹齢2000年超え!今も美しい花を咲かせる山高神代桜
山梨県の北西部に位置する北杜市は、八ヶ岳の麓にある清里や小淵沢、夏のひまわりで知られる明野など自然豊かな名所を数多く持つ街。そんな北杜市の武川町(旧 武川村)にある山高神代桜(やまたか じんだいざくら、Googleマップ)は、日本三大桜の1つに数えられる美しい桜です。 エドヒガンと呼ばれる種類の桜で背は低いものの、毎年春になると太い幹より四方八方に伸びる枝からたくさんの桜の花を咲かせます。
桜の花の密度は濃くないものの、中央の太い幹と桜の花との組み合わせが独特の雰囲気を醸し出していますね。 日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が手植えしたという言い伝えも残る山高神代桜。その樹齢は2000年に達するといわれています。
もちろん日本三大桜の中でも1番の古木。古木ゆえに樹勢が衰えることもありましたが、樹木医によるケアを受けて見事に甦りました。 木の幹を保護する目的で1984年から20年間、幹の上に四角い雨よけが設けられていましたが、樹木医の診断により現在は外されています。
雨除けがなくなったことで、大きく2つに分かれた幹がはっきり見えるようになり、神代桜が長い歴史を持つ桜の木というのがより分かりやすくなったように感じます。
山高神代桜の見頃は、例年だと4月上旬ですが、その年の気候により早くなったり遅くなったりします。開花情報をこまめにチェックしましょう。
日本国内の著名な桜の子孫樹が山高神代桜のまわりに集まりました
山高神代桜は、日蓮宗のお寺である実相寺(じっそうじ)にあります。実相寺の境内には山高神代桜の他にソメイヨシノやしだれ桜がたくさんあり、春を迎えると山高神代桜と呼応するかのように美しい花を咲かせます。 特筆すべき点は、日本国内の著名な桜の子孫樹が境内に移植されていること。日本三大桜に選ばれた根尾の淡墨桜や三春の滝桜の子孫樹が、山高神代桜が咲く実相寺の境内で仲良く花開きます。 また実相寺と同じ山梨県にある身延山久遠寺のしだれ桜、山高神代桜と同じエドヒガンの臥龍桜(岐阜県高山市)、伊佐沢の久保桜(山形県長井市)の子孫樹もいます。 移植された時は小さな木だった子孫樹も長い月日が経過して、境内の端から良くみえていた山高神代桜が目立たなくなるほどの大きな木に育ちました。これらの桜が一斉に花を咲かせる春は実相寺の境内がさくら色で美しく染まります。
宇宙旅行した山高神代桜の子孫樹も花を咲かせます!
実相寺の境内の一角にある「地涌(じゆ)の桜」は、神代桜の子孫樹にあたります。「地涌の桜」の種は2008年に宇宙文化事業の一環としてスペースシャトルに乗って宇宙へ行き、8カ月の宇宙滞在から帰ってきた後、実相寺に植えられました。そのため「宇宙ザクラ」と命名されました。十年余りの時を経た今、この地で春が来る毎に美しい花を咲かせています。
桜と一緒に水仙や南アルプスの山々を望む絶景を楽しみましょう
実相寺の境内には、桜以外に水仙の花畑があり、桜のピンクと黄色や白の水仙が映える風景を楽しめます。カラフルな風景は訪れた人の目を惹きつけますね。 また天候に恵まれた時は、甲斐駒ヶ岳や鳳凰三山などの南アルプスの山々を望めます。 実相寺の境内の端まで歩いて、距離をとって山高神代桜の方向を眺めると、桜のバックに南アルプスの山々がそびえる姿を見ることが可能です。山高神代桜近くに咲く桜も見逃せません
山高神代桜のすぐ近くにも、北杜市の桜の名所に挙げられる場所があります。山高神代桜から車で10分ほど走った所にある「眞原(さねはら)桜並木」(Googleマップ)は、背の高いソメイヨシノが桜並木を形成し、開花すると750メートルもの桜のトンネルが現れます。 例年だと眞原桜並木は山高神代桜より桜の見頃の時期が1週間程度遅いのですが、その年の気候によっては同時に見頃になることもあります。北杜市観光協会のWebサイトに掲載される桜の開花情報を参考にした上で立ち寄ってみると良いでしょう。
日本三大桜の1つである北杜市の山高神代桜をご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。北杜市には観光スポットもたくさんありますので、悠久の時を経て花を咲かせ続けている山高神代桜を今年のお花見の候補に入れてみてください。
山高神代桜へのアクセス
地図:Googleマップアクセス:
<鉄道> 新宿から特急「あずさ」「かいじ」に乗車して甲府駅または韮崎駅で普通列車に乗り換え、日野春(ひのはる)駅下車。日野春駅からタクシー利用。
<高速バス>
新宿より中央道高速バスで甲府駅へ。甲府駅からは<鉄道>ルートと同じです。
<車> 中央道 須玉インターチェンジから国道141号線を清里方面に進み、中央道をくぐった先にある薬師堂橋東詰交差点を長坂、武川方面に左折。トンネルを抜けて、国道20号線との交差点を直進し、神代桜への案内に従います。