年金/年金アーカイブ

平成22年度年金額据置きの問題点(2ページ目)

平成22年度の年金額が据え置き(平成21年度と同額)と決まりました。世の中は賃金減少、デフレ、と厳しいのに、年金受給者は優遇されているよう……。そんなことはありません。実は将来にツケをまわしているのです。ツケを払うのはいつでしょう。

大沼 恵美子

執筆者:大沼 恵美子

貯蓄ガイド

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先送り分は2.2%

では、本来なら減額される「マイナス1.4%」はどうなるのでしょうか。「なかったこと」になるわけではありません。「先送り」されるのです。先送り分(物価スライド特例措置による物価下落率の平成22年の累積分)は、平成21年までの0.8%に今回の1.4%を加えた2.2%です。言い換えれば、現在の年金額の給付水準は、本来の給付水準より2.2%高い――現在の年金受給者は将来の年金の一部を先取りしている――ということになります。

物価スライド特例措置による物価下落率の累積分が解消された段階から、マクロ経済スライドによる調整(現時点の調整率はマイナス0.9%)が始まります。単純に考えると、今後年金額がアップするのは、賃金(物価)の伸びが3.1%(累積分2.2%とマクロ経済スライド調整率0.9%の合計)を超えた以降になるということ、それまでは年金額は現水準のまま、ということです。

今「年金暮らしだから苦しくて……」とおっしゃっている高齢者の方々は、インフレが進んでもしばらくの間は年金額は上がらない、ということを認識する必要があります。「現在より家計がひっ迫する時代が来る」ことを想定して、今のうちに生活スタイルを見直し、将来の年金額の目減りに備える必要があるのではないでしょうか。
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