イマーム広場で人々と触れ合おう!
バザール内のチャイハネ。人々が吸っているのがシーシャといわれる水タバコ。イスラム教国では飲酒が禁止されている一方、様々なタイプのタバコやコーヒー、お茶が嗜好されている ©牧哲雄
バザールを歩いてい楽しいのは、現地の人々との出会いがあること。イスラム教徒というと原理主義組織によるテロのせいか、どうも怖いイメージを持たれがちだ。しかし、実はイスラム教徒ほど旅行者にやさしい人たちはいない。なかでもイスファハンの人たちの人懐っこさは特別で、バザールを歩いているとしばしば声をかけられるだろう。
バザール内。入り口付近には観光客用の店やインターネット・カフェもあるが、奥へ進めば観光客はほとんどいない ©牧哲雄
たとえばバザールの2階にイマーム広場を見渡せるチャイハネがある。チャイとはお茶を意味し、ハネとは家のこと、つまり喫茶店だ。この喫茶店でチャイを飲み、この地方特有の水タバコを吸ってイマーム広場をのんびり眺めていると、若い女性がふたり寄ってきて「アシンアシン」と話しかけてくる。ペルシア語はわからなかったが身振り手振りで話していると、20年ほど前大ヒットしたNHK連続テレビ小説「おしん」だということがわかった。どうやらイランでは繰り返し放映されているらしい。やっとこさで話が通じると、ふたりはとても甘いお菓子をおごってくれた。こんなふうに仲良くなって、家に招待されたりする旅行者は数多い。
イスファハンは見所にあふれている。金曜モスクと呼ばれるマスジッド・イ・ジャミで、スィー・オ・セ橋で、あるいはイマーム広場をのんびり歩いていれば、きっと多くの出会いがあるだろう。
文化とは生活そのものだ。そしてあらゆる建築物は生活から合理的に生み出された。日本人には合理的に思えなくても、ある角度から見ると非常に合理的であることが、やがてわかる。一度自分の角度を捨てて、その角度を見つけることが、他文化を理解するということだ。彼らと出会い、彼らの生活に触れることで、新たな角度を見つけて自分の世界を広げ、他文化を理解する「器」が身につくのだ。