遺族基礎年金の受給額(支給額)を知っておこう
遺族基礎年金は「子育て年金」とも言われる
そこで、今回は遺族基礎年金の受給額について見ていきたいと思いますが、その前にちょっと「遺族基礎年金のおさらい」をしておきましょう。ポイントは以下のとおりです。
・国民年金から支給される遺族年金を「遺族基礎年金」という
・国民年金に加入している人はもちろん、厚生年金、共済年金に加入している人が亡くなった場合にも支給される
・ただし、受け取れる遺族は「子のある配偶者」または「子」に限られる
・公的年金の「子」の定義は、18歳年度末まで。したがって、遺族基礎年金も子が18歳年度末で打ち切られる
受給額は加入期間の長さに関係せず一定
遺族基礎年金の受給額は、老齢基礎年金の満額と同じです。ちなみに平成27年度は78万100円となっています。ただし、老齢基礎年金とは大きな違いが2つあります。1つめは、「加入期間の長さは受給額に影響を及ぼさない」ということです。
老齢基礎年金は加入期間の長さに比例して受給額も変わります。加入期間(保険料納付済、免除期間)が長ければ長いほど受給額も増えることになるわけです。
一方、遺族基礎年金は極端な話、加入期間が1カ月しかなくても、他の要件を満たしていれば、老齢基礎年金の満額(78万100円)が受け取れる仕組みとなっています。
受け取る遺族と人数によって加算がある
厚生年金から支給される遺族厚生年金は、受け取れる遺族の範囲が遺族基礎年金に比べ広い
ただし、この遺族の人数とは、遺族基礎年金を受け取れる「遺族の人数」ということになることに注意が必要です。遺族基礎年金の遺族とは、「子のある配偶者」または「子」ですから、「子の加算」と言われます。
例えば、夫が死亡した当時、家族として
・妻(46歳)
・長男(21歳)
・長女(17歳)
・次男(15歳)
・母(76歳)
の5人が遺されたとしたとすると、「遺族基礎年金を受け取れる「遺族の人数」」は、妻と長女、次男の3人となります。
母は、「子のある配偶者」または「子」ではないため、遺族の対象となりません。また、長男は子ではありますが、公的年金での「子」は18歳年度末までとなっているため対象外です。
子が全員18歳年度末を過ぎると支給は打ち切りに
それでは具体的な加算を見てみましょう。遺族の人数によって以下のようになっています(金額は平成27年度価額)。・1人 78万6500円
・2人 78万100円+22万4500円
・3人 78万100円+22万4500円+22万4500円
・4人 78万100円+22万4500円+22万4500円+7万4800円
・5人 78万100円+22万4500円+22万4500円+7万4800円+7万4800円
など
前述の「妻と長女、次男の3人が遺族」の場合、78万100円+22万4500円+22万4500円=122万9100円(平成27年度)となります。ただし、この金額がずっと続くわけではありません。
遺族基礎年金の「子」は18歳年度末までとなっているため、子が18歳年度末に達した時点で、加算がなくなります。そして「子」が全員18歳年度末を過ぎた時点で、遺族基礎年金は打ち切られてしまいます(一定の障害の状態にある場合は20歳まで)。
遺族基礎年金は子育て年金
先ほどのケースですと、まず長女が18歳年度末を過ぎた時点で、遺族の人数が3人から2人(妻と次男)になり、次男が18歳年度末を過ぎると遺族の人数がいなくなります。夫が死亡当時次男は15歳ですから、遺族基礎年金は3年ほどで打ち切りになってしまうことになります。「あれっ、まだ妻がいるじゃない?」と思われるかもしれません。
確かに妻は残っているのですが、遺族基礎年金の遺族は「子のある配偶者」または「子」に限られています。ですから、子が全員18歳年度末を過ぎると、妻は「子のある配偶者」ではなくなり、遺族基礎年金の対象ではなくなってしまうのです。
遺族基礎年金は、「子育て支援年金」と言われたりするのですが、子が高校を卒業するまでの期間限定年金であることも、しっかり頭に入れておきたいところですね。
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