日本酒/おすすめの日本酒

牡蠣とフカヒレに合う気仙沼の地酒リポート

日本でもトップクラスの水揚げ量を誇る港町気仙沼。牡蠣やフカヒレでも知られる町。地酒ととれたてサメの市場を紹介。気の弱い方はご注意!

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

日本有数の港町の地酒は「男山」と「角星」

山が海に迫る、美しい天然の港
鮪・鰹の水揚げ量では日本でトップの地位を誇る気仙沼。恵まれた天然の入り組んだ港は、遠洋・近海両方の延縄漁船の母港だ。11月下旬はカジキ、サンマが大量にあがる、冬の魚市場も活気がある。

そ・れ・と、
気仙沼はフカヒレの町としても有名。さらには感動的においしい牡蠣もある。 今回は、このフカヒレと牡蠣に合う地元の地酒を紹介しよう。

気仙沼の地酒蔵は2つ。

「株式会社 男山本店」
創業は大正元年(1912年)。全国にいくつかある男山のうち、「伏見男山」の名は、創業者菅原昭治が京都・伏見南方の岩清水八幡宮(別名・男山八幡宮)に製造免許をいただいた大願成就の御礼祈願のおり、八幡宮宮司より拝受したもの。
蔵は、昭和6年頃の建設で、昭和初期の景観を今に伝えている。木筋コンクリート造りの三階建てで、洗い出し仕上げの重厚な外壁とモダンな内部構造が特徴。平成15年1月に国の登録有形文化財に登録された。(同社HPより)


「株式会社 角星(かくぼし)」
呉服商、酢・麹製造販売、塩問屋等を営んできた「斉藤屋」14代斉藤作兵衛は、明治39年、岩手県折壁村でにごり酒の醸造を開始。明治41年、現在地宮城県気仙沼市太田に工場を移転。酒名「金紋両國」は、陸中の国(現岩手県一関市折壁町)で醸造し、陸前の国(現宮城県気仙沼市)で販売したことにより、ふたつの国にわたる酒「両國」と命名された。

社名でもある屋号「角星」は、初めて酒が出来上がった時、その新酒を新しい枡に入れ折壁村室根神社に献上、ますます佳き酒が出来ますようにと夜を徹して祈願したところ、明けの明星が御神鏡に映り、その光が献上の酒枡に円やかに輝いたところから吉兆とばかり喜び、早速屋印を「角星」としたと言われている。(同社HPより)


あなどれないぞ!「フカヒレ寿し」!!

この日は、市内の人気すし店「あさひ鮨」にて、日本酒とフカヒレのお寿司。ここでは、気仙沼の2店の蔵元さんの冷酒を飲み比べできる。
名物は、まさにそのままの形を握った「姿」と、特製甘酢で味付けした錦糸状「ふかひれ寿し」だ。

正直、期待していなかった・・・・。
だけど、これがおいしい。握りの大きさに合わせたかわいい「姿」は、見た目も楽しい上に、ねっとりとした旨味があって、寿し飯との相性もいい。ちょっと驚き。
錦糸状のほうは、さくさくとした歯ごたえがあって、フカヒレ食べてますっという満足感があるし、甘酢の味付けが実にいい。どちらもおつまみになるお寿司で、立派な作品だ。

いやいや、食べる前は、名物に胡坐をかいたおざなりなものかと思ったら、これは、わざわざ行って食べる価値のあるものだと断言できる。いや、参りましたー。
これに、優しい甘みとみずみずしさがある気仙沼の地酒は、やはり、よくマッチする。

手前左がフカヒレ「姿」、右が錦糸状のフカヒレの軍艦巻き。秋らしいあしらいもうれしい。
(左)角星の「福宿」は純米吟醸。すっきり嫌味がなく軽やか。飽きないタイプ。
(右)男山本店の「蒼天伝」は特別本醸造生酒。やや甘みとコクのあるタイプ。

通常の握りもおすすめ。下の写真は「モウカの星」。実は「モウカサメ」の心臓・・・。酢味噌で食べる。臭みはない。地元ならではの珍味。


「森は海の恋人」をスローガンに育てられた極上の牡蠣



もう一つご紹介したいのは、「水山養殖場」の牡蠣。

「森は海の恋人」をスローガンに、牡蠣やホタテが健康においしく育つよう、20年前より、気仙沼湾に注ぐ大川上流の山や森に落葉広葉樹を植林してきた「牡蠣の森を慕う会」の畠山さんが運営する「水山養殖場」。

三陸の牡蠣としては、やや大振りで、しっかり厚みのある殻。海からとったままを水洗いしないでいただく。海の自然な塩味があり、きよらかな潮の香り、とろりとクリーミーな舌触りの中心部、やや歯ざわりがある外側、塩辛さとコクと旨味のバランスがすばらしい。


このままの状態で、男山本店の「特別純米 蒼天伝」、もしくは、角星の「特別純米酒生酒 水鳥記」をきりりと冷やしてあわせたい。
同じ土地の水から生まれた牡蠣と酒なら、そのミネラル分や旨味のバランスがよく、ナチュラルなハーモニーを奏でてくれること請け合いだ。

ちなみに、レモンをたっぷりかけたものなら、ミュスカデやモーゼルの辛口白などとぴったりだろう。
こちらの牡蠣やホタテ、お取り寄せも可能のよう。この冬はぜひお試しいただきたい。
海からあがったままの塩味でいただく。後味の旨味の長いことといったら・・・。 右はホタテの殻で、ここに牡蠣の種をつける。


<おまけ>
宮城ならではのビール。「食材王国みやぎ 美味し国・伊達な旅」だって。


→次ページは「サメの市場」を突撃レポート。心臓の弱い方はご注意を!
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