日本酒/酒造、酒蔵訪問

塩釜へ「浦霞」蔵元の「佐浦」を訪ねる(3ページ目)

宮城の銘酒「浦霞」のお蔵元「株式会社 佐浦」を訪ねた。築150年の歴史ある蔵の中で、酒造りの秘訣をじっくり教えていただいた。人気の秘密を垣間見たぞ。

友田 晶子

執筆者:友田 晶子

日本酒・焼酎ガイド

間違いのない味わいは「自家酵母」と
「きめ細かいチェック」から


蔵を見終わって、しぼりたてをきき酒してから、私は思い切って安定した味わいの理由を、13代目当主にじかに聞いてしまった。まったく無知無礼。
でも「自家酵母ときめ細かい味わいのチェック、でしょうか」という丁寧なお返事が返ってきた。


長い歴史を見続けてきた蔵に住み着く「自家酵母」は、なににも変えがたい宝であろう。もちろん、この酵母を最大限まで生かしきった南部杜氏平野重一氏の役割が大きいことは言うまでもない。平野氏は「現代の名工」として労働大臣表彰も受けている。

また今回の案内をしてくださった工場長兼杜氏である鈴木氏は、岩手県出身者以外で初めての南部杜氏資格所持者であり、平成16年には県外杜氏としては初の首席を受賞していらっしゃる。若手育成にも「間違いのなさ」があらわれている。

さらに、製造から出荷までの間、さらには瓶詰め後の貯蔵のタイミングでも、入念なきき酒師によるチェックをおこたらないとおっしゃる。

海に近く井戸を掘れば塩水、北国ではあるが豪雪地帯というわけではない、それが塩釜という土地だ。米や水にすこぶる恵まれて、といった環境ではないのだ。にもかかわらず、これだけ長く多くの人に愛される人気酒を世に送り出し続けている理由には、宝である自家酵母を丹精こめて育て上げたこと、キメの細かい味わいのチェック、この二つが大きいのだろう。

取材後、佐浦社長におすすめされたお寿司屋のカウンターに一人座り「浦霞禅」と「しぼりたて」を飲みながら、ぶどう海老や金華鯖、マツカワカレイをつまみながら考えたのは、この絶品のとてたて魚介類が身近にある環境も、きっと、酒造りにいい影響を与えているんじゃないかなぁ、と心地よく酔った頭で考えた次第。


「株式会社佐浦」
  022-362-4165
  宮城県塩竈市本町2-19

 ☆次回は「浦霞」が飲めるおいしいお寿司屋さんをご紹介します。
  お楽しみに!


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