とある雑誌を見ていたら、花見についてこんな文章が載っていました。

『花見なぁ、あんたらどんな花見してんの? あれか、誰ぞが朝早うから場所取りして、青いビニールシート敷いてやる、あれやろ。あんなもんは花見とちゃうで。仕事の憂さ晴らししとるだけや。大きい声でカラオケうとうて、桜が嫌がっとるのが解らんのかいな。シートで息出来ひんわ、幹にうるさい振動が伝わってくるわやな。桜には迷惑千万や。あんな事してたら、そら、桜も綺麗に咲こ思うわけがないがな。』

タイトルは“桜と心通わすような花見をせなあかん”。そのとおりではないですか。語っているのは十六代佐野藤右衛門氏。1928年京都生まれの造園家であり桜守。
本来お花見とは一人でするものなのだとか。「今年も綺麗に咲いたなあ」と木をなでながら、桜と心通わすものなのだとか。

確かに、誰が考えたって、名所という名の「宴会場」では、桜より人が目立つし、煙もくもくのバーベキューやへたくそなカラオケは、花見の情緒というものがまったくない。

だから今年は、名所や宴会場じゃない、自分だけの桜の木を見つけて、じっくり愛でてあげようじゃありませんか。もちろん好きな人と一緒ならなおいいし。もちろん傍らには日本酒が必要ですし・・・・。

さて、しっぽり心通わす花見にピッタリの、「桜」の名がついた銘柄を集めてみました。桜前線とともに南から北へご紹介。

広島 【美和桜】 美和桜酒造  桜の名所美和町のさらりとした酒。
広島 【桜吹雪】 金光酒造   桜の花が舞うように潔く爽やかでありたい命名。
岡山 【櫻室町】 室町酒造   旨味ある雄町米が人気。
岡山 【正義櫻】 正義櫻    名前と裏腹(?)にあっさりとした口当たり。
島根 【玉櫻】  玉櫻酒造   甘口の純米大吟醸「瑞櫻」は上品。
島根 【三つ櫻】 三櫻酒造   三宮神社の桜から命名。歴史ある蔵。
鳥取 【久米桜】 久米桜酒造  久米城の桜より命名。早くから「生」を扱う。 鳥取 【日置桜】 山根酒造場  地元米「玉栄」使用。旨口。人気上昇中。
和歌山【初桜】  初桜酒造   名前どおりなめらかで柔らかい印象。
兵庫 【黄桜】  黄桜酒造   カッパのキャラクター、ビッグブランド。
滋賀 【薄桜】  増本藤兵衛酒造場 大吟醸「吟水晶 華宴」この時期ピッタリ。
滋賀 【初桜】  安井酒造場  桜のように誰からも愛されるようにと命名。
岐阜 【御代櫻】 御代櫻酒造  その名もズバリ「桜」。辛口大吟醸あり。  
長野 【深山桜】 古屋酒造店  明治天皇御製「青葉まじりにみずみずしく咲く深山桜」から。
山梨 【谷櫻】  谷櫻酒造  谷は八ヶ岳の谷。清らかな八ヶ岳の伏流水使用。
宇都宮【四季桜】 宇都宮酒造JALファーストクラス使用。バランスのとれた味わい。
茨城 【賜杯桜】 賜杯桜酒造  大相撲優勝者に贈られる「大賜杯」から最高の造りをモットーに。
福島 【春高楼】 河野   「荒城の月」のモデル鶴ケ城から。山廃が人気。
山形 【羽前桜川】 野沢酒造店 片洞門の桜川渓谷より命名。さらりなめらか。
山形 【やまと桜】 佐藤佐治右衛門  倭=日本を、代表する花=桜。華やかな吟醸酒。
山形 【出羽桜】  出羽桜酒造  天童の銘酒。金賞受賞の吟醸で全国的に知られる。

(参考:講談社『日本の名酒事典』)

●写真は深山桜
どうです。たくさんあるでしょう。細かく見ていけばもっともっと発見できるはず。あなたが見つけた桜酒、おすすめがあれば教えてくださいね。

なお、前述の佐野藤右衛門氏のコラムは「オブラ4月号別冊」からの抜粋です。
ちなみに、インターネット「オブラ・ツイスト」では、私友田晶子の《ネットワインバー・官能の真実》連載中。ご覧下さいね。
(※会員登録制になります)

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。