浦霞、飲み飽きしない安定感、間違いのない味わいの
秘密とは?
創業享保9年(1724年)。300年ちかい歴史を持つ。現当主は13代目。 |
源頼朝の歌である。
いきなりアカデミックなスタートに驚いてはいけない。
宮城の銘酒「浦霞」の名前の由来は、この源実朝の歌からきているということをご存知だろうか。
白くまぶしく輝くのが「土ぞう蔵」。150年の歴史がある。 |
今回お蔵にうかがって初めて知った銘柄名の由来。
しかし、お訪ねしたのは、霞がかかる季節にはまだ幾分早い2月の半ば。塩釜湾と塩釜港から、観光船の船着場であるマリンゲートに吹く風は乾燥した真冬のからっ風そのものであった。さむっ。
日本酒好きで「浦霞」を飲んだことがないという人は、いないのではないだろうか。「浦霞」の印象は、さて、どのようなものだろう。
「いつ飲んでも安定した味わいで、瑞々しくなめらかでどこか優しく品がありながら、東北の地酒らしい芯みたいなものを同時に感じさせてくれる」、これが私のいつも「浦霞」に感じるイメージだ。
いつも安定した味わい、つまりこの「間違いのなさ」が、「浦霞」にはあると思うのだ。
店内でには、取り扱いの銘柄ボトルがずらり並ぶ。 |
だって、経験がないだろうか?
居酒屋や小料理屋でこの「浦霞」という文字を発見するとなぜか妙に安心して、まよわず、すかさず注文してしまうということ。
読者の方がお店関係者であれば、「浦霞、これを置いておけば大丈夫」みたいな気持ち、あるんじゃありませんか?
地酒のよさを持ちながら大手ブランドのような安心感。これ「浦霞」に勝るものなしって感じではないだろうか。
この「間違いのなさ」はいったいどこから来るのだろう。
今回のお蔵見学はその秘密を暴くという大きなミッションを背負ったプロジェクトなのだ(←おおげさ)。
築150年の土ぞう蔵(本社蔵)で生き続ける自家酵母
暖簾をくぐるとまるで京都の裏町のような風情になる。ここを通って蔵に入る。 |
「塩竃神社にお神酒をお供えするのがお酒造りの始まりなんです。もともと海の玄関口としての重要な港町として発展したきた塩釜の酒屋。当然ながら海上交通に恵まれた立地を活かすことによって、販路拡大が成功したのです」・・・・と語ってくださるのは13代当主の佐浦弘一氏。
現在は、築150年になる「土ぞう蔵」と大正時代に建設された石造りの「大正蔵」(別名「岩蔵」)、さらに平成6年に作られた「矢本蔵」をあわせて13000石を生産する。
ちなみに、販売は宮城県内35%、そのほか65%。なるほど地元でなくともよく見かけるわけである。