店に入って、テーブルにつき、さてとお酒メニューを 開けてみると、
全国有名銘柄はずらり。ところが、飲み方表示は「燗」と「冷酒」しかないってところが、意外に多いのです。
日本酒は、この二つだけでなくもっともっと、いろんな温度で楽しめるもの。
たとえば、日本では昔から 温度帯別に、こんな素敵な呼び方で、 微妙な違いを楽しんでいました。
●冷やの表現
みぞれ酒 0度
雪冷え(ゆきひえ) 5度
花冷え(はなひえ) 10度
涼冷え(すずひえ) 15度
●燗の表現
日向燗(ひなたかん) 30度
人肌燗(ひとはだかん) 35度
ぬる燗 40度
上燗(じょうかん) 45度
熱燗(あつかん) 50度
飛び切り燗(飛び切りかん)55度以上
ね、おもしろいでしょう。
ほぼ、5度感覚で区切られている微妙さとか、いちいち納得のいくネーミングは、
昔の人のセンスと遊び心に 脱帽って感じですよね。
初夏から梅雨に入る今の季節は、なんと言っても、冷や。
冷酒にむくのは、「生」と表示にある フレッシュでさらりとしたタイプや、
「吟醸」「大吟醸」のフルーティーで華やかなもの、さらに、できたて絞りたての、「しずく酒」「あらばしり」なども おすすめ。
また、逆に、「熟成酒」「古酒」といったあたりも、すこーし冷やしめだと、
シェリーのような楽しみ方が できるからお試しあれ。
酒器はやっぱり、涼しげなガラスが定番。
「切子」はもちろんのこと、小ぶりのワイングラスもいい。
シャーベット状のみぞれ酒は、おさじを添えて、 カキ氷風に。
最近人気の発泡酒は、ちょっとふっくら目のシャンパーニュグラスで本格的に。
にごり酒はキンキンに冷やしてカクテルグラスへ。グラスのふちをカットしたスダチで拭き、 そこに塩をつければ、スノースタイルでマルガリータ。 きつめの「原酒」をシェーカーに入れ氷と一緒に シェークすれば、マティーニ!
おっと、どんどん日本風情から離れてしまいましたが、
楽しみ方は、自分流にさまざまだし、和風にこだわることもなし。
しかし、ただでさえ、飲む温度が幅広いうえに、お酒のタイプや酒器の組み合わせを加えると、 無限に楽しみ方が広がって、もう大変。
今回は、冷やについての考えましたが、 じつはワタクシ燗好き。
夏だって、あっついのをのどに流し込むと スキッとするじゃない。
無濾過を人肌ぐらいに温めると、旨味倍増だしねえ。
ああ、日本酒って、深い・・・・。
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