あえて子どもを危険に遭遇させることが大切
ガイド「お子さんたちはとても器用でいらっしゃったようですね。」坪居さん「子どもたちには、2,3歳から、はさみだけでなく、カッターナイフも使わせていました。
危険なので、幼い子には使わせないというお母さんもいらっしゃるかと思いますが、私は、「刃は出し過ぎたらだめ!使わないときは刃を引っ込める!」などの約束事を決めて、カッターナイフを使わせていました。
子どもから危険を排除してはいけません。危険にあえて遭遇させることが大切です。
例えば、アイロンが熱いということも、アイロンをかけたすぐ後の布を触らせるなどして、アイロンは熱いものだということを経験を通してわからせることが大切なのです。」
希薄になっている「長幼の序」
ガイド「ペルーの日本人小学校の先生の教えで、今でもよく覚えていらっしゃることはありますか。」坪居さん「『長幼の序』という教えです。年長者と年少者の間には守るべき順序があるものだ。先輩に対して尊敬の念を抱くことは大切だ。という意味です。子どもの心を育てるためにも、年長者は威厳をもって子どもに接するべきだと思います。
しかしながら、最近では、例えば、子どもたちが保育士さんを『ちゃん付け』で呼ぶなど、『長幼の序』という教えが希薄になってきているように思います。」
叱るとき、問い詰めてはいけない
ガイド「3人のお子さんを立派に育てられましたが、子育て中の失敗談があれば教えてください。」坪居さん「子どもが悪いことをした時、なぜそんなことをしたのか、理由を言わせようとして、きつく問い詰めたことがありました。子どもは、益々頑なになり、強情になって、答えられなくなってしまいました。
随分後になって分かったことですが、娘は、きちっとものごとを考えて納得し、理論的に話しができるようにならなければ話すことができなかったのです。
親も余裕を持って子育てしなければならなかったのですね。」
ガイド「ペルーでの体験が子育てにどのように生かされていると思われますか。」
坪居さん「世界に視野が向いていました。また、どんなことでも前向きに考えるポジティヴ思考を先祖から受け継ぎました。海外では、そうでなければ生きていけない環境にありました。そういう思いが、自然と子どもたちに伝わり、子どもたちも世界的な視野で仕事を考えたのだと思います。」