もちっとした食感がくせになるイスラエル産のピタ
忘れてならないのがパンの存在である。都内のファラフェル専門店では、店でパンを焼いているところもあるが、こちらのパンは冷凍ものを使用。といっても、ファラフェルの本場イスラエルから輸入した本格派だ。冷めると若干固さが気になるが、温めてしばらくはもちもちとした食感が楽しめる。このピタの特筆すべきところは、粗めの気泡と厚めの生地にあるのではないだろうか。ソースをしっかりと吸ってくれて、ボリュームのある具材を包みこむ力に長けているといえる。ファラフェルの値段は、ハーフで450円、フルで770円。1ヶ月前まではハーフが550円でフルが900円だったという。これは、お客さんにファラフェルをより気軽に、よりおいしく感じていただけたら…との想いからとか。これだけの内容と手のかけようをみれば、決して高いとは感じられない値段である。むしろ、本当にいいの?お店は大丈夫?そんな心配までしてしまうほど。
この本格的で手の込んだ料理を作っている人はどんな人だろう…ふとそう思い、お店の女性に尋ねてみた。すると、こんな答えが返ってきた。
「ラビ(ユダヤ教の指導者)の指導のもとに作られています。時にはラビ自らが作っていますよ。」
ラビという存在は、私たちにはいまひとつピンとこないかもしれない。ラビ、ユダヤ教を詳しく語るには多くの問題が生じるのでここでは控えておくが、この店を理解してもらうために、少しだけ。
Kosher(コーシャル)料理を提供するラビ直営店
現在、欧米ではKosher(コーシャ、コーシャル)の食品はユダヤ教以外でも(おもに健康意識の高いひとに)人気を博しているといわれている。Kosher(コーシャ、コーシャル)食品は、ユダヤ教の伝統(掟)に即したもの。ユダヤ教では豚肉や鱗のない魚、貝類などを食べることは禁じられており、この店でも一般の食加工品においても、コーシャ食品として認定を受けたものしか使えない。そのチェックはかなり厳しいものだという。だから、健康意識の高いひとたちの間では、「安全で高品質」。コーシャ食品はブランド化しているようだ。
この認定を受けるには、選ばれしラビたちがチェックをしているというのだが、この「KING FALAFEL」の経営者は、そのうちのひとりであるという。
この店の経営者は、在日10年であるラビのベンジャミンさん。いわゆるここ「KING FALAFEL(キングファラフェル)」は、ラビの直営店、ユダヤ教の伝統に基づいたレシピで作られているというわけである。
余談だが、ワタシがお店のかたに話を伺っている最中に、ベンジャミンさんが店内で調理していたのだが、突然塩水で洗ったキャベツを持ってきた。
「ほら、虫がいたよ。」
優しい微笑みをもってそうおっしゃったのだが、その微笑みの奥には“だからしっかりと塩水で処理しなくてはね…”私にはそんな言葉がふと耳をかすめた。(ユダヤ教の掟では野菜は塩水で洗うそうです。)
最後に。“ラビの直営店”“ラビ自らが毎日品質をチェックしているから安心(ベンジャミンさんは、毎日朝5時に火をつけにきて、夜もかかさず火を消しにくるそうですよ)”。
これらも特筆すべきことかもしれないけれど、私にとってはそれよりも、単に一客として、ただ、「KING FALAFEL(キングファラフェル)」のファラフェルサンドが「美味しいから」「食べて幸せな気持ちになれるから」、今回ここで紹介することにした。
オープンは4年ほど前だというが、紆余曲折の末、1ヶ月前に値段が下がり、ボリュームもアップ。以前に比べて本格的な料理を手軽に食べられる喜びを、ファラフェルサンドをかみ締めるたびにワタシはひしひしと感じている。
穏やかなトマト味のイスラエルの家庭料理「シャクシュカ」のお弁当。 |
そうそう、この記事を見て訪れたかたは、お店のかたにそのように伝えると、「自家製ポテトフライ」をサービスでトッピングしてくれますので(これが本場スタイル!)、ぜひお伝えください。
お店で使っているピタが近日中に購入可能に! |
お店で使っているモッチモチの「イスラエル産ピタ」が、近日中に広尾のナショナル麻布やニッシンワールドデリカテッセンで販売されるそうです。詳細はお店にお問い合わせください。
※2010年6月4日加筆
現在「ナショナル麻布」では販売されているそうです。
■ファラフェル専門店「KING FALAFEL(キング ファラフェル)」
所在地:東京都港区南麻布2-7-31
TEL:03-5441-4770
営業時間:月~金11:00~15:00
日11:00~17:00
定休日:土曜
交通・アクセス:麻布十番駅または白金高輪駅より徒歩15分程度
地図:Yahoo!地図情報
オフィシャルHP:「KING FALAFEL(キングファラフェル)」