豚肉と卵の煮物(ティットコーチュン)
豚肉はベトナムでは最もよく食卓にのぼるお肉。なかでもこの卵との煮物は、定番料理のひとつである。見ためは中国料理の角煮とさほど変わらないが、味は似て非なるもの。ベトナムならではの調理術が垣間見られて、こっくりとしたおいしさが楽しめるのは嬉しいところ。
おいしさの秘密はなんといっても“カラメル”である。カラメルは砂糖、ヌックマム、こしょうなどを火にかけて作られる調味料なのだが、色合いはデザートの定番であるプリンのカラメルをきもち強くした、といったところだろうか。でも味は濃厚で甘“辛い”。
これをすだちの搾り汁、にんにくなどとともに豚肉に絡めて下味をつけ、ココナッツジュースでコトコトと煮込んでいくのがこの料理だ。
煮込まれた豚肉はこっくりと濃厚な味わいで、コクのあるゆで卵との相性は抜群。ヌックマムの塩気もポイントになっているかな。全体の味がキリリと引きしまっているところもさっぱりと食べられていいんだなぁ、これが。