魚と野菜の酸味スープ(カインチュア・カー)
ベトナムのスープでまず驚いたのがこれ。私が最初に食したときは、なんとパイナップルが入っていた。このほかに白身魚、トマト、サトイモの茎などがゴロゴロと。
ごはんにかけてサラリといただいたのだが、これがまあなんとも不思議なお味。爽やかな酸味と甘みが織りなす複雑なグラデーションは、一度で私の舌に、胃に、そして脳裏に深く刻みこまれた。
このスープは、1度よりは2度、2度よりは3度、3度よりは・・・と口にするたびにその魅力に気づくだろう。ベトナムならではの発想のスープである。
このスープの立役者は、なんといってもタマリンド。これは甘さとコクのある酸味を併せ持つマメ科の樹木の果実である。スープの特徴である甘みと酸味は、このタマリンドによるところが大きく、タマリンドはこのスープには欠かせない。
一方、パイナップルは入らないこともある。南部はあまり入れない、といったように地方によっても違うし、仕上げたい味の方向性によっても違いがある。
また、雷魚やなまずといった魚のほかに、エビやカニにすることも。食べたことはないが、ウナギをいれることもあるらしい。ウナギにタマリンド・・・うーん、これは興味あり。ウナギに梅って合うものね。でも、昔の人には食べあわせが悪いと怒られそうだけれど・・・。
そうそう、魚がエビなどにかわると、カインチュア・カーの“カー”の部分が使う素材の名に変わります。「カインチュア」、ごはんにかけてどうぞ!