歴史的経過によって行く末が分かれた2つのモンゴル
「こんなにも違いがあったとは・・・!」
モンゴルと名がつく2つの地域を旅して、料理を食べ比べたときの感想が、
これ。
「モンゴル」「蒙古」と名がつく地域。実は2つあるのをご存知ですか。(ご存知のかたはしばしおつきあいを。)
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内モンゴル自治区周辺の地図ひとつは、ゴビ砂漠の北、ウランバートルを首都とする「モンゴル国」。朝青龍が病気療養のために一時帰国した地域としても有名だが、私たちがモンゴルと聞いて、まずイメージする“独立国”である。
もうひとつは、ゴビ砂漠の南、中華人民共和国の北部に位置する「内モンゴル自治区」。こちらは、“中国の自治区”となっている、ゴビ砂漠をはさんでモンゴル国に接している地域だ。
中国の人たちは、モンゴル国のことを「外モンゴル」、内モンゴル自治区のことを「内モンゴル」と呼ぶので、この呼び名のほうがピンとくるかたもいらっしゃるかもしれませんね。(ちなみに、モンゴル人は「北モンゴル」「南モンゴル」と呼んでいます。)
もともと「モンゴル国」と「内モンゴル自治区」に住む人たちは、同じ文化を持ち、同じ言葉を話す蒙古族。ところが歴史的経過によって、モンゴル国は“ロシア文化圏”、内モンゴルは“中国文化圏”に分かれてしまった。
写真右:内モンゴル自治区での外食。写真左:モンゴル国での草原の食事。内モンゴルは野菜がたっぷり!(中国の影響か?!)モンゴル国ではロシアから輸入したピクルスが。
だから当然、もとは料理が同じ。とはいえ、社会や体制が変われば、食も影響を受けるのが常。互いに少しずつ違いが出てしまい、見ためは似ている料理ではあるものの、ううむ何かが違う・・・と、その土地のカラーに少し染められてしまった料理がたくさんあるのである。
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モンゴル人の伝統料理「ホルホグ(羊肉の石焼)」と、2つのモンゴルの違いについて、さも詳しいように書いてしまったが、実をいえばこのワタクシ、数年前までは、モンゴルと名がつく地域がふたつあるとは知りませんでした。ましてや、食にそれほど違いがあるなんて露知らず。そんなワタシが大胆にも、ここでモンゴルの食について紹介しようとしているとは・・・。
幸いにも、現地の人たちと生活する機会に恵まれ、「モンゴル国」と「内モンゴル自治区」の料理の違いを垣間見ることができたので、ワタシが触れてきた料理の数々をご紹介したいと思います。どうぞおつき合いくださいまし。