野菜をじっくり炒め、塩を一切加えずに煮込んだ「チェロウ モルグ(鶏肉の煮込み)」。その味わいだ。かなり繊細なのである。聞けば、肉は長く煮込みすぎず、火加減にはかなり気をつかっているという。さらには、塩からくなると料理が最後までのどを通らないからということから、塩分は最低限の量しか使わない、のだそうだ。そして極めつけはスパイス。スパイスはほんの数種類しか使っていないのだが、口に含むとさも多くのスパイスがはいっているかのような深い香りと味わいを味蕾に感じる。羊スネ肉の煮込み「マヒチェ」。ボリューム感があるのに、ペロリと食べられてしまう。ひとつの料理に、スパイスは1、2種類しか使わないと聞いたときには、さすがに聞き返してしまったのだが、この味を出すには、どうも火加減と日本料理からヒントをもらった隠し味が大きな鍵を握っているらしい。火加減と隠し味。これで素材の味を引き出し、余計なスパイスや塩分は除いているというのだから、ご主人の料理のセンスはかなりのものである。「マヒチェ」はゼレシュク(バーベリーの実)がのったイランのご飯とともにどうぞ。イラン料理を出している店なのに、店名が「おつかれさん」。最初は耳を疑ったが(笑)、ここは単なるイラン料理店でも居酒屋でもない、イラン料理と和食の双方の料理がいただける、骨太の店としてしっかりと確立していた。フレッシュな果物から作ってくれるサワーはぜひ!店内は、カウンター数席と奥にイランの調度品に彩られた、8名ほど入れる個室があるだけのスペースだが、店にはいつも、ご主人の人柄に惹かれ、地元の人たちや夜遅くにイランの人達が各人食事を楽しんでいる。私が住む街にもこんな店があったいいのにな・・・。この店で寛ぎながら料理をいただいていたら、自然と口からこの言葉が漏れた。奥の個室は、外観からはまったく想像できないエキゾチックな空間。■イラン料理・和食「おつかれさん」所在地:東京都中野区松が丘1-2-20TEL:03-3385-4649営業時間:月~土 18:00~翌1:00 日 18:00~24:00定休日:不定休交通・アクセス:西武新宿線新井薬師前駅北口より徒歩1分・またはJR中野駅よりバス10分地図:Yahoo!地図情報※イラン料理は予約必須。予算や料理の内容は相談にのってくださるそうです。前のページへ123※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。