シャルトル大聖堂の構造
聖母被昇天像。聖母被昇天とは、聖母マリアの魂が天使に囲まれて天に昇ったという伝説に基づいている
十字架の下部、西ファサードにはふたつの塔があり、北の塔が高さ約115mを誇るゴシックの新塔、南の塔が火事から免れてロマネスクを残す高さ約105mの旧塔になる。
十字架の下の長い直線の内部を身廊、その両脇の通路を側廊という。身廊の高さは37mにもなり、塔とあわせて当時は世界最大級の規模だった。
周歩廊の壁際に並んだ放射状祭室。たくさんのステンドグラスを一気に見渡す眺めは壮観
ステンドグラスはどれをとっても美しいが、特に放射状祭室では、一気に十数枚のステンドグラスが次々に現れて壮観だ。この放射状祭室は東にあり、晴れた日は太陽がここからステンドグラスを次々と照らしていき、最後に西ファサード・バラ窓の「最後の審判」を照らして日が落ちる。
ロマネスクとゴシックを代表する彫刻群
内陣と周歩廊を隔てる仕切りには聖書の物語がビッシリと彫り込まれている。文字が読めなかった人々はステンドグラスや彫刻を通して聖書を理解した
内陣と周歩廊を仕切る壁にはびっしりとマリアとイエスの生涯が描かれており、聖書の名場面を次々と眺めることができる。
また、西・北・南各面のファサードには扉口が設けられているのだが、扉口上部には見事な彫刻があるのでお見逃しなく。彫刻は扉の上のタンパンを中心に、周囲を半円状の帯=アーキヴォルトで囲まれている。さらにその下部の柱は人像円柱と呼ばれ、細長い人間の彫刻があしらわれている。
南ファサード左側扉口のタンパン(ティンパヌム)。左右の人型の柱が人像円柱、その上に伸びる円弧状の帯がアーキヴォルト
なお、西ファサードの扉口は「ポルタイユ・ロワイユ(王の扉口)」と呼ばれ、ロマネスクのすぐれた彫刻群で知られている。