「故郷」の味は、ここの女性料理人の息子さんが亀戸の「大蒙古」にて引き継いでいます。
私は無類の羊好き。しばらく口にしないと禁断症状が出てしまうほどだ。食べたくなったときにいつでも食べられるように、冷凍庫にもチルドものだけを常時ストックしている。少し歯ごたえのある肉をかみ締めたときに広がる特有の香り・・・。想像しただけでたまらない。
東京では、最近ジンギスカン専門店が続々オープンし、羊肉が注目されている。これはとても嬉しいことだが、その反面、大昔から羊と密着した関係を築きながらともに生きてきた、遊牧民の羊の食べ方があまり知られていないのはとても残念なことだ。
遊牧民というと、肉や乳製品ばかり食べているのだと思いがちだが、実はそうではない。彼らにとって家畜は資本。毎日食べていたら資本がなくなってしまうため、家畜を食べるのはたいてい特別な日だけ。
そんな彼らが羊をひとたび調理すれば、一頭余すところなくきれいに使いきる。調理法はいたってシンプル。しかしながら、その味わいは思わず唸ってしまうほどだ。
かみ締めると、ジュワ~っと濃厚な肉汁が口の中いっぱいに広がる。そして後から旨みがじわりじわりとやってきて、その強烈なダブル攻撃に打ちのめされる。
モンゴル人は長年羊とともに生活してきただけあり、羊の一番美味しい食べ方を知っているのだと感心する。
羊三昧でも飽きない遊牧民の料理、ぜひとも味わっていただきたいという気持ちを込め、私が気にいっている店を紹介したいと思う。
羊好きはぜひココへ!池袋『故郷(ノタガ)』
駅から歩いてくると途中少し不安になるが、ひたすらまっすぐ歩けばこの看板が見つかる。 |
そんな中、昨年オープンするとすぐに一部の羊好きを魅了し、常連客を掴んでいる店がある。
池袋北口から徒歩5分。駅前の喧騒とはうってかわり、本当にこんなところに店があるの?と、一瞬不安になってしまうような場所に、モンゴル料理店「故郷(ノタガ)」はポツリと佇んでいる。
入り口は、羊の脳ミソカレーで名高いパキスタン料理店「マルハバ」の脇を入った、少し奥まったところにある。店側からすれば、決してよい立地条件とはいえないが、訪れる側からすれば、店に入るまでの隠れ家のような雰囲気に、期待感が高まるだろう。