豊富なサンドウィッチ!
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素朴感を感じられる「サンドウィッチ・ニソワ」(661円)。 |
これ以外にボクがおすすめしたいのが、常時15種類ほどあるサンドウィッチ。「バゲット・レトロドール」にコンテチーズとバターのみを挟み込んだ、シンプルな“フロマージュ・ブール”(682円)をはじめ、レトロドール生地を成型せずに焼き上げたクラム中心の「プーリッシュ・ドゥミ」に、じゃがいも、玉子、ツナ、インゲン、パプリカ、オリーブ、アンチョビ等を挟み込んだ、盛りだくさんの「サンドウィッチ・ニソワ」(661円)まで、実に豊富なヴァリエーション。そして、そのどれもが抜群のおいしさを誇ります。
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シンプルながらもその凄さがよくわかる「ジャンボン・ブール」(525円)。 |
特に「ジャンボン・ブール」(525円)と「ジャンボン・クリュディテ」(661円)は注文必須です(どちらも「バゲット・レトロドール」を使用)。前者は、無塩バターを塗った切り口に、ジャンボン(豚のもも肉ハム)のみを挟み込んだ、この上なくシンプルなサンドウィッチ。バリバリッっと歯を入れると、味覚よりも先に嗅覚が敏感に反応。ジャンボンの沸き立つ香りがスーッと鼻孔を通り抜けます。そしてそれを追って、バゲットに潜む芳醇な小麦の香り。この時点でこれほど強い香りを感じられるのは極めて稀。そんじょそこらのサンドウィッチとはわけが違いますね。先にも述べたように、バゲットの旨みは噛み締めるほどにぐんぐん膨らみます。しかしそれだけではなく、ここではジャンボンの旨み、甘みも同時に膨らんでいきます。ジャンボン自体の旨み、甘みは比較的穏やかなのですが、バターと渾然となることで、バゲットの旨みを凌駕するほどの存在感を放つようになるのです(包容力のある豊かな香り、旨み、甘み)。バゲットに比べてジャンボンの割合は少ないのにもかかわらず、その主張はものすごい。たっぷりと使われたバター。これが最大の決め手といえますね。
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今ボクが最も好きな「ジャンボン・クリュディテ」(661円)。 |
後者は、「ジャンボン・ブール」にスライス状の茹で玉子と生野菜(グリーンリーフ&トレヴィス)が加わっただけなのですが、ここまで変わるものか、というくらいその表情は違います。「ジャンボン・フロマージュ」は、見た目も限りなくシンプルで、レトロドールとジャンボンのおいしさをストレートに感じられるもの。見た目、味ともに風格が備わっていましたが、この「ジャンボン・クリュディテ」はそのイメージにちょっとやわらかさが加わって、身近に感じられる仕上がりとなっています。特に茹で玉子の存在が大きく、鮮やかな黄色み(黄身の)がもたらす視覚的効果は絶大。味わいの面でも、黄身の風味が全体をやさしく包み込み、シャキッとした生野菜が清涼感を与えてくれています。ゆえに「ジャンボン・ブール」ほどジャンボンは主張しませんが、「ハム(ジャンボン)」、「玉子」、「生野菜」&「パン(バゲット)」。このブレックファスト的組み合わせが、気分を最高点まで高めてくれます。朝食にはもってこいの一品ですね。
また、2階はフランスの家庭料理を提供するブラッスリー。ここで焼きたてのパンをいただくこともできるので、ふらっと立ち寄ってみてください。
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<店データ>
■ヴィロン
所在地:東京都渋谷区宇田川町33-8 塚田ビル1・2F
TEL:03-5458-1770
営業時間:9:00~21:00
定休日:無休
JR山手線渋谷駅より徒歩7分。
地図:
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