今まで食べたことのないブイヤベース!
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今まで出逢ったことのないようなスタイルの「ヤリイカのブイヤベース風テリーヌ、じゃが芋とインゲンのサラダ、バジル風味」。 |
まず、前菜の「ヤリイカのブイヤベース風テリーヌ、じゃが芋とインゲンのサラダ、バジル風味」は、スープも一切なしで、見た目だけではブイヤベースとはわからないのですが、口に含むと完全にブイヤベース! 仕立て方を変えることで目新しさを与えながらも、その味は極めて馴染み深いものになっています。
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とても印象深い一品です。 |
なめらかな舌触りの中で、細かく刻まれたヤリイカも心地よく主張していますね。野菜もたっぷりなので、バランスも○。酸味の効いたソースが、適度なシャープ感を与えてくれています。
この日一番の感動!
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「真鱈の白子のムニエル、ケイパー風味の焦がしバターソース」。スペシャリテとして、毎年冬には必ず出してほしい一品です! |
そして、「真鱈の白子のムニエル、ケイパー風味の焦がしバターソース」。これには参りましたね。今振り返ってみると、間違いなくこの日最も記憶に残った料理です。
的確に火入れされたとろ~り&まったりの白子はもちろんのこと、それを支えるソースがとにかく秀逸なんです! 焦がしバターの適度なコクとともに感じるケイパーの酸味が、この料理の最大の決め手。通常は、主となる濃厚なバターの風味に適度な酸味を盛り込むケースが多いですが、この場合は完全に酸味が主。そこに適度なコクがプラスされている感じなのです。白子そのものにクリーミーなコクが備わっているからこそ、このバランスが成り立つんですね。
フレンチの白子料理では、「ル・マンジュ・トゥー」の「タラの白子のムニエル」と双璧。「年間ランキング2007」のベスト200入りは確実ですね。
味、食感のコントラストも○!
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味、食感のコントラストが素晴らしい「イベリコ豚ホホ肉のコンフィ、ジャガイモ包み焼き、コルニッションのソース」。 |
続いて魚料理…といきたいところですが、前途した通り、ボクは肉料理の「イベリコ豚ホホ肉のコンフィ、ジャガイモ包み焼き、コルニッションのソース」。カリッと香ばしい細い麺状のじゃがいもに包まれたイベリコ豚のホホ肉は、まるで牛肉のように味が濃い。ぎゅっと凝縮した旨みを実感することができます。このしっかりとした旨みがあるからこそ、じゃがいもの軽快な食感が活きてくるんですね。たくさんの茸と、酸味の効いたピクルスソースとともにいただきます。
酸味遣いに注目!
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「阿久根産真鯛のポワレ」。ホワイトアスパラのみずみずしさも尋常ではありません! |
友人が選んだ魚料理、「阿久根産真鯛のポワレ」は、ともに添えられたホワイトアスパラの極太さに驚き、口に含めばそのみずみずしいエキスに全神経が向けられます。とても持続性のある香りを備えているので、真鯛と交互にいただくと、両者の旨みと香りが時間差で重なり合うのです。そして何と言っても決め手は、真鯛のジュやオリーブオイルを合わせた透明感あるソース。爽やかな香りを放つ一方で、ここでも適度な酸味が立派な陰の主役を演じているのです。
これまでの4皿を見ただけでも、シェフの酸味遣いは相当なもの。どんな食べ物でも、甘みを活かすための苦みであったり、酸味を活かすための甘みであったりetc…、対極にあるようなテイストをうまく組み合わせなくてはおいしいものなど作れませんが、こちらのシェフは、そのバランス感覚が無視できないくらいに素晴らしいですね。
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肉料理&デセールについて。