「アロニア・ド・タカザワ」の高澤シェフとの対談!
対談風景。「アロニア・ド・タカザワ」の店内にて。 |
高澤:実はよくそういったことを聞かれるんですが、ボクは独学でやっていて、どこそこで修行した、といった経歴は持っていないんです。あるにはあるんですが、逆にそれを誇示したいと思わない。ベースはフレンチなんですが、和食やスパニッシュとか焼き鳥とか、まんべんなくいろんなものを作ってきました。ラーメンも作ったことありますね。それから、意外と年齢的に若いうちから料理長をさせてもらっていたので、正直下積みとかそういう経験はあまりないんです。
来栖:食のガイドブックをみると、必ずと言っていいくらいシェフの修業先とか出身地がありますよね。でも正直ボクにとっては、そんなことどうでもいいんですよね。そういうことを書くんだったら、もっと味の事を書きたいなって。
高澤:肩書きで料理を食べるんじゃなくて、料理そのもので判断してほしいと思います。「あそこでやってたからこういう料理なんだ」と言われる方もいらっしゃる。ひとくくりにしてほしくない、と思いますね。
来栖:実際、このレストランを見るとよくわかります。前回も今回も、とにかくおいしい! そして楽しい! 見せ方がすごくうまいな、って思いますね。ここはジャンルで言うと、何になるんですか?
トリュフ、ヴァニラ、シナモン、丁子、ブラックペッパー、つつじの花の香りを盛り込んだ「米沢牛と赤ワインの要素」。 |
来栖:自分の中での制約は一切なく、自分の好きなように、ということなんですね。
高澤:「こうしなければ」というのはありません。ただ、決して創作料理ではないんです。
来栖:わかります。一般的な創作料理に、おいしいものってほとんどないですからね。
餡、牛乳、苺、蜜柑、寒天をミルフィーユ状に重ねて固めたものと、プラムのソルベ、黒蜜のアイスクリームを盛り合わせた「あんみつミルフィーユ」。塩えんどうの代わりにわかめの塩気を効かせてある。 |
来栖:あ、でもそうですね。コラボをしたら、絶対に和食っぽいものは出てこないし、こういうものになると思います。
高澤:良い部分を取り出して融合すると、洗練されてくると思うんです。余計なものがそぎ落とされて。
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