小玉シェフといえば肉料理!
桜のチップで香りをつけた「アイスランド産子羊の瞬間燻製 ペルノー風味」。 |
小玉:ん~たしかに、メインでお肉を頼む方のほうが圧倒的に多いですね。逆に、魚もどんどん出していったらどうなるのかな、とも思います。
来栖:ボクは今の感じが好きですね。メニューを見ても、シェフって肉好きだよなー、ってことがすごくよく分かるラインナップだし(笑)。
小玉:どれも食べたくなる、そういうメニュー作りを目指しています。
来栖:それ、ぼくは特にここの肉料理で感じますね。ここでは本当に全部頼むこともありますもんね(笑)。そそられるメニュー名ですよね。料理法とかも。
小玉:そそるメニューだとしたら、料理はもっとそそらないといけないですからね。
肉料理を作る上での注意!
肩肉、背肉、もも肉を盛り合わせた「岩手県産仔山羊をシェフのインスピレーションで」。 |
小玉:塊のお肉を焼くとしたら、まずおまかせで料理が決まっていた場合は、お客さんが来る3時間くらい前から出して、常温に戻しておきます。そうすると、まずフライパンの上に載せる時間が短くなります。
来栖:冷たい肉を焼くと驚いちゃうから?
小玉:温度差があると、中がなかなか温かくならないので、長いことフライパンの上にのせておかなくてはいけない。そうすると、外側が焼きすぎになってしまうんです。常温に戻して、次に塩コショウ。早めにつけると余分な水分が抜けます。ボクは今のところ、焼く前に塩コショウをしますが、これにはいろんな考え方があります。フランスでは、焼いてる途中にするという考え方の人もいますね。ボクはまだ結論は出ていないんですが、最初にしてから焼き始めるタイプです。特別大きい肉でない限り、最初からオーブンは使いませんね。フライパンです。弱火で入って、やさしくやさしく焼いていきます。お肉の周りに壁を作る、という感覚で。その壁は厚くなってもいいと思うんです。まわりのカリカリは最後でいい。
来栖:途中で一度休ませておくんですか?
小玉:はい。完成まで温かいところにおいておくと、全体に血がまわります。そしてピンク色というか、ロゼになります。オーブンに入れて、温めた後、脂身を上にして余分な脂を天火で抜くんです。
来栖:なるほど。
仔鳩はちょっと違うんです!
「スペシャリテ、フランス産仔鳩のロースト ブレゼした腿肉とエキスのしっかりつまったソースで」。現在お店で出している仔鳩料理です。 |
来栖:それは、何でですか?
小玉:皮も焼きたいじゃないですか。その場合、中が冷たい状態で焼いて、それから30秒オーブンに入れる。
来栖:それでも、中あたたかいですよ?
小玉 塩コショウして焼きますよね。フライパンを煙出るくらい熱くして入れます。置いておくと中が常温になります。それから皮目をフライパンでかりっと。ジビエもそうです。
来栖:常温のあたたかさなんですね?
小玉:違いますね。内側の肉にも塩コショウし、それをちょっと温かいところにおいておいて、それからオーブンに二分くらい入れるんです。皮目を下にして。それでもまだ火は入りません。周りは色が変わりますけど。フライパンを温めておいて、そこで皮目をぱりっとさせる。お肉は裏面にして一秒。
来栖:でも思ったんですけど、胸肉が出てきますよね。あれって裏側も焼き目ついてましたっけ? それから、さっきもおっしゃってましたが、昔は丸のまま焼いてましたよね?
以前お店で出していた「スペシャリテ、ブレス産仔鳩のロースト エキスのしっかりつまったソースで」。 |
来栖:焼きは全部シェフが?
小玉:はい。妥協できないから、自分で焼いています。
来栖:わかります。ボクも料理はしますが、やっぱり全く同じルセットでも、他の人が作ると全然同じにならないですもん。感覚が違いますもんね。
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