素材を活かした極みの料理達
アミューズは「ワカサギのフリット」。琵琶湖産で子持ちの大ぶりです。 |
以下はシェフおまかせコースより。
・前菜「フォワグラのソテー フランス鶏の玉子 マデラソース」
スープ状のマデラソースに、絶妙の火加減でソテーされたフォアグラと、半熟卵を盛った一皿。この店に来た以上は、これを食べずには帰れないというほど、前菜のスペシャリテ的存在です。基本的に「ル・パッサージュ」の料理は、全てがスペシャリテといえるぐらい素晴らしいので、一概にスペシャリテはこれだ! とは言えませんが、これに関してはもうスペシャリテとして御紹介してもいいでしょう。
フランス鶏の卵による輪郭と芯のある味わいは、とても濃厚かつフレッシュ。そしてこの卵をソースに絡めてフォアグラを食すと、口中に珠玉のテイストが奏でられ、一層その至福感が増幅します。
・魚料理
魚だけではなく、菊菜もたっぷり添えられており、食べ応え満点の一皿。 |
「的鯛と白子のソテー、菊菜添え ブロッコリーソースで」
身の引き締まった的鯛のしなやかな味わいと、口の中でムースのようにとろける白子の美味しさは、丁寧でしっかりとした火入れの賜物! 素材の持ち味がこれ以上は考えられないほど最大限に引き出されており、シェフの非常に力強いパワーを感じさせる仕上がりとなっています。
・肉料理
前菜のフォアグラ料理と並ぶ感動的な傑作品。 |
「鶉と帆立のソテー 蕗と牛蒡のソース」
エイジングにより肉本来の旨さが極クラスになるまで高めたであろう鶉肉と、大ぶりの帆立、さらに山芋のパンケーキという3層のソテーに、蕗と牛蒡のソースを合わせた逸品。
山芋で作られたパンケーキの柔らかで滑らかな食感と、帆立の持つ海の旨味分子と香ばしさが、口の中に深く濃く拡がる鶉肉の重厚な味わいに、さらなる複雑さを作り出します。またそこに「蕗」と「牛蒡」による大地のミネラルを多分に含んだソースが絡み合い、肉を中心にした大地と海による完全無欠のマリアージュに纏め上げられているのです。これはもはや渾然一体なんてレベルじゃありません。フランス料理におけるマリアージュの最高形の一つと言えるでしょう。
山鳩や兎料理で唸るほどのジビエ料理と出会った経験は何度かありますが、鶉料理で思わず唸ってしまったのは初めてのこと。本当に旨い料理を食べた時は「旨い!」という言葉しか出てこない、とよく言いますが、その「旨い」という域を超えた料理を食べた時は、言葉なんて出てきません。もう唸るしかないですね。
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