国際結婚/国際結婚アーカイブ

もっと 「I love you」を言ってあげれば…(2ページ目)

ジョンの命日に行われた「Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ」。ここでヨーコさんが涙しながら言ったことは、「もっと I love youを言ってあげればよかった」でした。その意味とは……

執筆者:シャウウェッカー 光代

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私の誤解

『ただの私』
『ただの私』 オノ・ヨーコ著 飯村隆彦 編 520円(税込) 講談社文庫
それ以前にも、私はヨーコさんのことを誤解していました。ビートルズのことをリアルタイムではほんの一部しか知らない世代で、お2人の結婚は今ほど海外の情報が簡単には入ってこない時代でしたから、一部の“ビートルズを解散させた女”というイメージを鵜呑みにしていたのです。

後年、日本のインタビュー番組などに出演されるようになったとき、「なんてきれいな日本語を話す人なんだろう!」と思いました。お話を聞いてみて、彼女に対する印象もガラリと変わりました。状況をよく知らなかったのに、偏った評判だけで人を判断していた自分を恥ずかしく思いました。

ジョンと知り合うきっかけになったヨーコさんの個展の作品の話を聞いて、これだったら私も心動かされてしまうだろうと思いました。それは1966年、ロンドンでの作品 "Ceiling Painting" 。個展にふらっと立ち寄ったジョンが、部屋の中央に置いてあるハシゴ(脚立)を上り、虫眼鏡で天井を見ると、小さな文字で「YES」と書いてあったそうです。「NOだったら失望したが、YESとあったので救われた」とジョンが語ったのは有名なエピソード。彼女のポジティブな精神がジョンのハートの深いところに触れた瞬間だったのでしょう。

それから、ジョン&ヨーコ夫妻を見る私の目は、前と全然変わりました。特にヨーコさんに関しては……。ジョンが凶弾にたおれた時、再び言われなき中傷を受けても、彼女は沈黙を貫きました。後に著書『ただの私(あたし)』の中で「自分では、自分のいい子ぶりにウンザリしているくらいで、片親をなくしたショーンのために、と思って、万事低姿勢で自重しているわけだが、本当は世界にむかって、バカヤローと叫びたいのが本音だ。」と書いています。実際には声高に叫ぶことはせず、黙って耐えた彼女に、どこか“日本人らしさ”を感じてしまったのは私だけでしょうか。

同じ波長の2人

数年前にオールアバウトが本を出版した時、各ガイドのページで、自分のテーマに関する「何でもトップ3」を紹介するというコーナーがありました。私は気になる国際結婚カップルのトップ3を選んだのですが、その中の1組がジョン・レノン&オノ・ヨーコ夫妻でした。

3組選ぶにあたって、いろいろな分野の国際カップルを考えていたのですが、2人のことが浮かんだ時は「ああそうだ、彼らも国際結婚だったんだっけ」と改めて思ったものです。それくらい(=国際結婚とは感じさせないくらい)、文化や人種の違いを越えて、同じ波長を持っている2人でした。


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