私の誤解
『ただの私』 オノ・ヨーコ著 飯村隆彦 編 520円(税込) 講談社文庫 |
後年、日本のインタビュー番組などに出演されるようになったとき、「なんてきれいな日本語を話す人なんだろう!」と思いました。お話を聞いてみて、彼女に対する印象もガラリと変わりました。状況をよく知らなかったのに、偏った評判だけで人を判断していた自分を恥ずかしく思いました。
ジョンと知り合うきっかけになったヨーコさんの個展の作品の話を聞いて、これだったら私も心動かされてしまうだろうと思いました。それは1966年、ロンドンでの作品 "Ceiling Painting" 。個展にふらっと立ち寄ったジョンが、部屋の中央に置いてあるハシゴ(脚立)を上り、虫眼鏡で天井を見ると、小さな文字で「YES」と書いてあったそうです。「NOだったら失望したが、YESとあったので救われた」とジョンが語ったのは有名なエピソード。彼女のポジティブな精神がジョンのハートの深いところに触れた瞬間だったのでしょう。
それから、ジョン&ヨーコ夫妻を見る私の目は、前と全然変わりました。特にヨーコさんに関しては……。ジョンが凶弾にたおれた時、再び言われなき中傷を受けても、彼女は沈黙を貫きました。後に著書『ただの私(あたし)』の中で「自分では、自分のいい子ぶりにウンザリしているくらいで、片親をなくしたショーンのために、と思って、万事低姿勢で自重しているわけだが、本当は世界にむかって、バカヤローと叫びたいのが本音だ。」と書いています。実際には声高に叫ぶことはせず、黙って耐えた彼女に、どこか“日本人らしさ”を感じてしまったのは私だけでしょうか。
同じ波長の2人
数年前にオールアバウトが本を出版した時、各ガイドのページで、自分のテーマに関する「何でもトップ3」を紹介するというコーナーがありました。私は気になる国際結婚カップルのトップ3を選んだのですが、その中の1組がジョン・レノン&オノ・ヨーコ夫妻でした。3組選ぶにあたって、いろいろな分野の国際カップルを考えていたのですが、2人のことが浮かんだ時は「ああそうだ、彼らも国際結婚だったんだっけ」と改めて思ったものです。それくらい(=国際結婚とは感じさせないくらい)、文化や人種の違いを越えて、同じ波長を持っている2人でした。
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